需給動向 国内

◆牛乳・乳製品◆

脱脂粉乳は減産傾向も、追加輸入で需給は安定に


脱脂粉乳は減産傾向も、追加輸入で需給は安定に

平成29年4月の生乳生産量は、61万6705トン(前年同月比2.2%減)と8カ月連続で前年同月を下回った(図8)。内訳を見ると、北海道が32万711トン(同2.3%減)、都府県が29万5994トン(同2.1%減)といずれも減少した。北海道内の生乳生産を地区別に見ると、旭川地区を除きほぼ全地区で前年同月を下回った。

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用途別生乳処理量を仕向け先別に見ると、牛乳等向けは牛乳やはっ酵乳の底堅い需要から32万3762トン(同0.1%増)と前年同月並みとなった一方、乳製品向けは、28万8769トン(同4.6%減)と10カ月連続で前年同月を下回る結果となった(農林水産省「牛乳乳製品統計」)。

バター・脱脂粉乳生産量、減少続く

平成29年4月のバターや脱脂粉乳の生産量は、乳製品向けのうち、脱脂粉乳・バター等向けが前年同月を10.2%とかなりの程度下回ったことから、バターが5718トン(前年同月比12.1%減)、脱脂粉乳は1万1637トン(同6.8%減)といずれも減少した。

29年度の生乳生産量、前年度をわずかに下回る見通し

一般社団法人Jミルクが平成29年5月25日に公表した「平成29年度の生乳及び牛乳乳製品の需給見通しと当面の課題について」によると、29年度の生乳生産量は、前年度比1.4%減の724万2000トン(北海道が389万3000トン(同0.1%減)、都府県が334万9000トン(同2.9%減))と見込まれている(表1)。

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北海道については、生産の主力となる2〜4歳の乳牛頭数は下期には前年水準に回復する見込みであるものの、1頭当たり乳量が前年の台風上陸など収穫期の天候不順の影響による飼料品質の低下などにより、28年11月より前年度を下回って推移していることに加え、今春の分娩予定頭数も前年度を下回るとみられていることから、前年度並みとしている。都府県についても、26年度以降、黒毛和種交配率が高止まりしている影響により、2〜4歳の乳牛頭数が引き続き減少する見通しから、減産見込みとしている。

また、乳製品の生産量は、生乳生産量がわずかに減少すると見込まれる中、飲用等向けが前年度並み、乳製品向けが同3.1%減とやや減少することから、バターは6万100トン(同5.5%減)、脱脂粉乳は11万6600トン(同5.6%減)といずれもやや減少するとされた。

農林水産省、脱脂粉乳の増枠を発表

平成29年5月25日、農林水産省は、29年度の脱脂粉乳の輸入枠について、脱脂粉乳の消費量の増加が見込まれることから、当初の1万3000トン(1月27日公表)に2万1000トンを上乗せした3万4000トンにすることを公表した。29年6月以降、機構が輸入入札を実施する。この追加輸入により、今後、夏場の猛暑などによる生乳生産の減少不安は残るものの、年度を通した民間在庫量の増加が見込まれることから、脱脂粉乳の需給は安定的に推移するものとみられる。

 (畜産需給部 山神 尭基)


				

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