需給動向 海外

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生乳生産は増加、次年度乳価は高水準の設定


生乳生産、2カ月連続で前年同月を上回る

ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2017年4月の生乳生産量は、144万7000トン(前年同月比6.3%増)と、3月(189万5000トン、同9.2%増)に続き、2カ月連続で前年同月を上回った(図26)。しかし、2016/17年度(6月〜翌5月)の累計生乳生産量は、2052万3000トン(前年同期比1.1%減)と、搾乳ピーク時の減産の影響を引きずり、前年同期をわずかに下回った。

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生産量が2カ月連続で前年同月を上回ったのは、2〜4月の十分な降雨により、主産地の北島で牧草生育環境が改善したためとみられ、北島主産地のワイカト地方では、同約9%の増産が記録された。米国農務省(USDA)は、2017年の生乳生産量について、国際市況の回復に伴い生産者乳価が引き上げられ、酪農家の収益改善が見込まれることなどを受け、前年を3%近く上回るとの見通しを示している。

乳製品輸出量、バターとチーズは増加、粉乳類は減少

ニュージーランド統計局(Statistics NZ)によると、2017年4月の乳製品の主要4品目の輸出量は、以下の通りとなった(表11、図27)。

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脱脂粉乳と全粉乳は、マレーシアやフィリピンなど、アジア・アフリカ向け需要の減少から、ともに前年同月を下回った。一方、バターとチーズは、中国向け需要の増加から、ともに前年同月を上回った。特に、チーズについては、中国向けが前年同月の2倍近くに増加し、日本や豪州を上回る最大の輸出先となった。

上昇続く乳製品国際価格を受け、2017/18年度乳価は高水準に設定

2017年5月16日に開催された、乳製品価格の指標とされるグローバルデーリートレード(GDT:フォンテラ社主催の電子オークション、月2回開催)の1トン当たり平均取引価格は、以下の通り、主要4品目のすべてで前年同期比、前回比をともに上回った(表12、図28)。

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主要4品目の中ではバターの上昇が際立つが、これは、乳脂肪分を多く使用した食品に対する需要が、アジアをはじめ世界中で高まっているためで、今後もしばらくこの傾向が続くとみられている。

現地報道によると、主要な輸出品である全粉乳は5回連続での上昇となるなど、上昇基調が続いていることに加え、為替相場がNZドル安・米ドル高で推移している影響もあり、2017/18年度(6月〜翌5月)の生産者乳価には期待を寄せる見方が多い。

そうした中、5月24日にフォンテラ社が発表した2017/18年度の生産者乳価の支払見込みは、乳固形分1キログラム当たり6.50NZドル(527円:1NZドル=81円)と、大方の予想通りの高水準に設定されたことから、酪農家からは安堵あんどの声が聞かれている。

(調査情報部 竹谷 亮佑)


				

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