需給動向 海外 |
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減産、輸出需要増で豚価はさらに上昇
欧州委員会によると、2017年2月の豚枝肉生産量(EU28カ国)は、前年同月比1.4%減(うるう年調整後。以下同じ)の186万トンとなった(図14)。
加盟国別に見ると、EU第3位の生産国であるフランスが同5.7%増となったものの、他の主要生産国では減産の傾向が強く、第1位のドイツは同2.6%減、第2位のスペインは同0.4%減、第4位のポーランドは同4.1%減、第5位のデンマークは同1.9%減となった。
欧州委員会は、3月の短期的需給見通しの中で、繁殖母豚や子豚の飼養頭数の減少などを要因として、2017年の生産量を前年比0.3%減と見込んでいる。
欧州委員会によると、2017年第1四半期(1〜3月)の豚肉輸出量(EU28カ国)は、前年同期比8.8%増の57.0万トンとなった(表5)。
輸出先国別に見ると、EUの最大の輸出先である中国向けがやや減少(同1.5%減)したものの、その他のアジア向けが好調であり、日本向け(同4.2%増)、韓国向け(同35.0%増)、香港向け(同32.5%増)などが増加となった。
豚枝肉生産量が伸びない中での輸出の拡大は、EUの豚肉需給を大きく引き締めている。業界団体によると、中国を含めたアジア市場は、北米および南米諸国との競争が増していくものの、今後も引き続き旺盛な需要が見込まれている。
欧州委員会によると、2017年4月の豚枝肉卸売価格(EU28カ国)は、前月からさらに100キログラム当たり12.4ユーロ(1575円:1ユーロ=127円)上昇し、前年同月比32.4%高の同168.9ユーロ(2万1450円)となった(図15)。
同価格は、前年5月以降に中国向け輸出の増加により一気に上昇し、その後も高水準を維持していたが、豚枝肉生産量が伸びない中で、豚肉輸出需要が堅調に推移していることから上昇傾向にある。
(調査情報部 大内田 一弘)