需給動向 国内 |
冷蔵品輸入量、6カ月連続で前年同月を上回る |
平成29年4月の豚肉需給を見ると、生産量は7万2224トン(前年同月比3.8%減)と前年同月をやや下回った。一方、輸入量は7万6832トン(同1.0%増)と6カ月連続で前年同月を上回った。輸入量のうち、主にテーブルミートとして消費される冷蔵品は3万1920トン(同3.2%増)と6カ月連続で前年同月を上回ったものの、主に加工業務用として使用される冷凍品は4万4912トン(同0.6%減)と、6カ月ぶりに前年同月を下回った。推定出回り量は前年同月をやや上回る15万2468トン(同3.7%増)となり、推定期末在庫は前月から3499トン取り崩し、17万4020トン(同0.3%増)と前年同月並みとなった(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。
平成29年4月の生産量は、昨年夏場の暑さによる繁殖成績の低下に伴う肥育頭数の減少などから、と畜頭数が前年同月を下回って推移しており、3カ月連続で前年同月を下回った(図4)。
一方、テーブルミートとして消費されることが多く、国産品との競合関係にある冷蔵品の輸入は、現地の生産増から相場安となっており、輸入業者にとって買い付けしやすい状況となっている。さらに、家計消費における豚肉購入数量が、27年4月以降、29年2月を除き、前年同月を上回って推移するなど国内の豚肉需要も好調に推移していることもあり、輸入を押し上げる要因となっている。
豚枝肉卸売価格(省令)を見ると、平成29年4月は、1キログラム当たり510円(前年同月比4.3%高)と前年同月を上回った。同価格は、5月上旬については大型連休明けの在庫減に対応した量販店の補充買いがあったため、上昇したものの、中〜下旬にかけていったん相場が下落した。しかし、と畜頭数が少なくなった月末には、再び上昇に転じ平均価格(速報値)では同561円(同5.1%安)と高値であった前年同月を下回ったものの、同550円を超える相場となった(図5)。さらに、6月に入ってからは、同658円(6月16日現在)と600円を超える相場となっている。例年、と畜頭数が減少する6月は、同卸売価格が上昇する傾向にあり、今後も同卸売価格が高水準で推移すると、量販店では国産品から価格が安定している輸入品の販促にシフトするという声も聞こえるため、今後の同卸売価格の動向に注目が集まっている。
(畜産需給部 小林 智也)