需給動向 海外 |
◆米 国◆
1〜4月の豚肉生産量は前年同期をわずかに上回る
米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が2017年5月25日に公表した「Livestock Slaughter」によると、4月の豚と畜頭数は、前年同月並みの934万3000頭となった。1頭当たりの平均枝肉重量(連邦政府検査ベース)は、同0.5%減の96.6キログラムとなった。これらの結果、同月の生産量は、同0.6%減の90万2000トンとなった(図11)。しかし、1稼働日当たりの生産量では、4月の稼働日が少なかったことから、前年同月を4.4%上回ると推計される。肥育豚飼養頭数が多いことに加え、食肉パッカーの収益性が比較的良好なことから、生産量は実質的には増加している。
2017年1〜4月の生産量は、前年同期比2.0%増の380万9000トンとなった。
なお、USDAは2018年の生産量について、母豚の飼養頭数が多いほか、中西部でのと畜場新設によると畜頭数の増加により、前年比3.3%増の1220万6000トンと見込んでいる。
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2017年5月22日に公表した「Cold Storage」によると、4月末時点の冷凍豚肉在庫量は、前年同月比6.0%減の27万2000トンとなった(図12)。この要因についてUSDAは、国内外からの需要が高かったためとしている。
部位別に見ると、もも肉は同12.5%減の5万2000トン、ばら肉は同53.1%減の1万5000トンとなったほか、多くの部位で前年同月を下回った。
USDA/ERSによると、2017年5月の肥育豚価格(速報値)は、肥育豚の供給増加により、前年同月比18.3%安の100ポンド当たり44.75米ドル(1キログラム当たり110円:1米ドル=112円)と、前月に続き前年同月を下回った。USDAは第2四半期(4〜6月)および第3四半期(7〜9月)について、前年同期を下回って推移すると予測している。
また、2017年5月の豚肉卸売価格(速報値)は、生産量の増加などにより、同2.5%安の同83.5米ドル(同206円)となった(図13)。部位別に見ると、もも肉などで前年同月を下回ったものの、国内で需要の高いばら肉は、在庫量が低水準であることなどから、同8.3%高の129米ドル(同319円)となった。
USDA/ERSによると、2017年第1四半期の豚肉輸出量は、前年同期比17.1%増の65万トンとなった(表4)。
輸出先国別に見ると、最大の輸出先であるメキシコ向けが、同33.3%増の21万2000トンと大幅に増加した。USDAは増加要因について、増産により米国産豚肉価格がメキシコ産を下回って推移したことを挙げている。日本および韓国向けは、それぞれ同7.6%増の14万6000トン、同32.0%増の7万1000トンとなった。
(調査情報部 渡邊 陽介)