需給動向 国内

◆牛 肉◆

平成28年度の牛肉輸入量、米国産冷蔵品が大幅増


平成29年3月の牛肉需給を見ると、生産量は前年同月並みの2万5941トンとなった。輸入量は、冷蔵品が2万2063トン(前年同月比29.0%増)、冷凍品が2万1424トン(同12.8%増)といずれも前年同月を上回り、全体で4万3544トン(同20.5%増)と4カ月連続で増加した。

推定出回り量は、前年同月をやや上回る6万9560トン(同4.7%増)となり、推定期末在庫は前月から305トンを取り崩し、10万2793トン(同11.4%減)と15カ月連続で前年同月を下回った(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

生産量、交雑種が増加に転じる

平成28年度の生産量は、32万4258トン(前年度比2.5%減)と4年連続で減少した(表1、図1)。品種別では、和牛が14万2653トン(同5.6%減)、乳用種が9万8313トン(同3.8%減)と減少した一方、交雑種は酪農家での黒毛和種交配率の上昇により、7万9173トン(同5.4%増)と増加に転じた。

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輸入量、豪州産から米国産へ転換進む

平成28年度の輸入量は、冷蔵品が23万9522トン(前年度比15.7%増)、冷凍品が28万5516トン(同2.2%増)と、いずれも前年度を上回り、全体で52万5694トン(同7.9%増)と3年ぶりに増加に転じた。

国別に見ると、最大のシェアを占める豪州産は、冷蔵品が11万5525トン(同8.1%減)、冷凍品が16万1441トン(同0.8%減)といずれも減少した。一方で、次いで輸入量の多い米国産は、冷蔵品が11万3423トン(同57.0%増)、冷凍品が9万3999トン(同2.9%増)といずれも増加した。

日豪経済連携協定(EPA) 発効3年目の28年度の関税率は、豪州産が冷蔵品30.5%、冷凍品27.5%に削減されたものの、出荷減により高値が続いているため生産量の回復している米国産への転換が進んだものとみられる。特に、米国産の冷蔵品は、27年12月以降、16カ月連続で前年同月比2ケタ増が続いており、外食や家計消費における牛肉消費の増加につながっているものと思われる。

推定出回り量、輸入品のシェア上昇

平成28年度の推定出回り量は、86万1098トン(前年度比3.8%増)と3年ぶりに増加に転じた。このうち、国産品は32万2533トン(同1.8%減)と前年度をわずかに下回った一方、輸入品は53万8565トン(同7.5%増)と前年度をかなりの程度上回った。この結果、全体に占める国産品のシェアは37.5%、輸入品のシェアは62.5%となった。生産量の減少により国産牛肉価格の高止まりが続く中、より安価な輸入牛肉や豚肉などに需要がシフトしているものとみられる。

推定期末在庫、輸入品の在庫調整続く

平成28年度末の推定期末在庫は、10万2793トン(前年度比11.4%減)と前年度をかなり大きく下回った。このうち、全体の約9割を占める輸入品は在庫調整などにより9万2020トン(同12.3%減)、国産品は1万773トン(同3.0%減)と、いずれも前年度を下回った。

牛枝肉卸売価格、年明け以降、軟調

このような状況の中、東京市場における平成28年度の牛枝肉卸売価格は、和牛去勢A−4が1キログラム当たり2587円(前年度比5.8%高)、交雑種去勢B−3が同1670円(同0.1%高)、乳用種去勢B−2が同1000円(同7.9%安)となった。

全国的な出荷頭数の減少やインバウンド需要の増大、堅調な輸出需要などを受けて、依然として高水準で推移しているものの、高値疲れや冷蔵品輸入量の増加などを背景に、年明け以降、乳用種や交雑種の下位等級を中心に、軟調に推移している(図2)。

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(畜産需給部 二又 志保)


				

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