需給動向 海外 |
2016年の牛肉輸出量、前年比13.2%増
2016年のと畜頭数は、前年比2.8%増の226万6764頭となり、2010年以降で最多となった。と畜頭数は、季節繁殖の影響で2〜5月に増え、冬季(7〜9月)に落ち込む傾向があるが、2016年は、例年と異なる動きとなった。これは、2013年から14年にかけて子牛生産が増加していたところに、2015年の干ばつで育成が遅れ、多くの牛のと畜時期が2016年6月以降にずれこんだことによる。この結果、2016年通年では、前年を上回ることとなり、生産者販売価格が低迷し、生産者にとって喜ばしくない状況となった。
と畜頭数は、2017年に入っても多い状況が続いており、3月は前年同月を18.2%上回った(図9)。なお、年間のと畜頭数は、米国農務省海外農業局(USDA/FAS)によると、前年比2.3%増の237万5000頭と見込まれている。
ウルグアイ中央銀行によると、2016年の牛肉輸出量(製品重量ベース)は、前年比13.2%増の29万3741トンとなった(表4)。これは、2006年の30万9767トンに次いで、過去2番目に多い量である。
国別にみると、米国向けが、同国における増産の影響でかなり大きく減少したものの、最大の輸出先である中国向けが同国内の堅調な需要から前年比18.4%増、オランダ向けが冷蔵品の伸びにより同36.7%増といずれも大幅に増加した。カナダ向けと、その他の国向けのうち韓国向けも、高値で推移する豪州産からの切り替えにより大幅に増加した。
ウルグアイは、中国や欧州各国からの需要が堅調に推移しており、輸出量も年々増加し、2016年は世界第8位と、国際市場での存在感を高めている。特に中国向けは、近年、中国系企業がウルグアイ国内の中規模パッカーを買収しており、さらなる買収も進むとみられていることから、今後も好調に推移すると見込まれている。
USDA/FASによると、2017年のウルグアイの牛肉生産量は、前年比2.5%増の60万5000トン(枝肉重量ベース)と予測されている(図10)。生産量の約7割が仕向けられている輸出量は、同1.9%増の43万トン(枝肉重量ベース)と予測されている。これは、前述の通り肉用牛生産者販売価格が低迷するなど牛肉の国内価格が低下しており、パッカーが国内余剰分を積極的に輸出へ仕向けていくと見られる他、中国などからの旺盛な需要も期待されるためとみられる。
2017年4月には、日系企業も現地パッカーの買収を発表しており、同国の牛肉市場の動向には今後も注視する必要がある。
(調査情報部 佐藤 宏樹)