需給動向 海外

◆米 国◆

生産および輸出が堅調に推移する中、メキシコ産の輸入が増加


第1四半期の牛肉生産量は、前年同期比6.1%増

米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2017年4月20日に公表した「Livestock Slaughter」によると、3月のと畜頭数は前年同月比9.1%増の276万5900頭となり、2016年8月以降8カ月連続で前年を上回った。

一方、同月の1頭当たり枝肉重量(連邦政府検査ベース)は、370キログラムとなり、前年同月を1.9%下回った。USDAはこの要因について、比較的堅調に推移する肥育牛価格を受けて、肥育業者が出荷のペースを早めていることがあるとみている。

こうしたことから、同月の牛肉生産量は、同7.2%増の101万9500トンと、8カ月連続で前年同月を上回り、第1四半期としては285万7400トン(前年同期比6.1%増)となった(図1)。なお、USDAは第2〜4四半期も前年同期を上回って推移すると見込んでおり、2017年通年の生産量を1202万トン(前年比5.1%増)と予測している。

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牛肉輸出量は5四半期連続で前年比増

米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が2017年5月5日に公表した「Livestock and Meat International Trade Data」によると、3月の牛肉輸出量は10万6145トン(前年同月比25.2%増)となり、前年同月を大幅に上回った(図2)。堅調な生産に伴って卸売価格は前年同月を下回って推移し、価格競争力を強めていることから、輸出量は2016年7月以降9カ月連続で前年同月を上回って推移している。国別にみると、最大輸出先となった日本向けは3万3762トン(同42.8%増)、韓国向けは1万6226トン(同30.4%増)、メキシコ向けは1万5232トン(同15.8%増)となった。

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このため、第1四半期としては29万5234トン(前年同期比21.9%増)となり、2016年第1四半期以降、5四半期連続で前年同期を上回っている。

メキシコ産は、牛肉および生体牛とも輸入が前年比大幅増

USDA/ERSによると、2017年第1四半期の牛肉輸入量は、前年同期比11.8%減の31万7102トンであった。国別にみると、豪州産は、牛群再構築中につき輸出余力が低下していることから同40.2%減の6万4516トンとなった。一方、メキシコ産は、米ドルに対しペソ安で推移する為替相場などにより、6万6432トン(前年同期比35.9%増)と、前年同期を大幅に上回った。

また、同四半期ではメキシコ産生体牛の輸入頭数も前年同期を大幅に上回り、34万3594頭(同24.3%増)となった(図3)。この要因としては、上述の為替相場に加え、メキシコで牛群再構築が進展し、肥育もと牛の供給頭数が堅調に推移していることがあるとみられる。このため、同四半期の生体牛の総輸入頭数は51万7849頭(同5.6%増)となり、2014年第4四半期以来9四半期ぶりに前年同期を上回った。

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(調査情報部 野田 圭介)


				

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