需給動向 国内

◆鶏 肉◆

平成28年度の鶏肉供給量、過去最高の250万トン超え


平成29年3月の鶏肉需給を見ると、生産量は13万3424トン(前年同月比0.8%増)と前年同月をわずかに上回った。輸入量はブラジル産などの減少により、3万7331トン(同15.9%減)と前年同月をかなり大きく下回った。推定出回り量は前年同月をわずかに下回る17万4303トン(同1.7%減)となり、推定期末在庫は前月から3548トンを取り崩し、13万5759トン(同13.2%減)と、前年同月をかなり大きく下回った(財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

生産量、6年連続で増加

平成28年度の鶏肉生産量は、6年連続で増加し、過去最高の154万9602トン(前年度比1.2%増)となった。底堅い需要を受けた近年の堅調な鶏肉相場により、生産者の増産意欲が高まっているためとみられる(表3)。

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輸入量、ブラジル産減少もタイ産が増加

平成28年度の鶏肉輸入量を見ると、ブラジル産については、レアル安米ドル高の為替相場を背景に増加した前年度の反動に加え、現地の生産コスト上昇を受けた下半期の減産などにより、前年度をかなりの程度下回った。一方、タイ産については、好調な輸出需要を背景に現地の増産意欲は高く、前年度を大幅に上回った。この結果、輸入量全体では、52万5767トン(前年度比4.6%減)と前年度をやや下回り、ブラジル産、タイ産のシェアは、それぞれ74%(同3ポイント減)、22%(同5ポイント増)となった。

また、鶏肉調製品(加熱処理された唐揚げ、焼き鳥、チキンナゲットなど)輸入量は、43万5544トン(同6.3%増)と前年度をやや上回り、主要な輸入先であるタイ産、中国産のシェアは、それぞれ61%(同2ポイント増)、38%(同3ポイント減)となった。

この結果、28年度の鶏肉供給量(鶏肉調製品を含む)は、初めて250万トンを上回った(図5)。

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推定出回り量、過去最高の210万トン

平成28年度の推定出回り量のうち、全体の74%を占める国産品は、154万9693トン(前年度比1.6%増)とわずかに増加し、輸入品も、消費者の低価格志向や加工・業務用需要の高まりから、54万6361トン(同5.6%増)とやや増加した。この結果、合計で209万6054トン(同2.6%増)と12年連続で増加し、過去最高を更新した。

また、28年度末の推定期末在庫は、需要を上回る高水準の輸入量を背景に積み上がった前年度末の反動により、13万5759トン(同13.2%減)と前年度をかなり大きく下回った。

鶏肉相場、2月以降高値

平成28年度の鶏肉相場は、高水準に積み上がった在庫を背景に、もも肉・むね肉ともに前年同月を下回って推移していたが、最近の輸入量減少により、供給がタイトとなっているため、2月以降のもも肉およびむね肉価格は前年を上回って推移している(図6)。

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(畜産需給部 河村 侑紀)


				

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