需給動向 国内 |
平成29年3月の生乳生産量は、63万4357トン(前年同月比1.5%減)と7カ月連続で前年同月を下回った(図7)。内訳を見ると、北海道が33万802トン(同1.5%減)、都府県が30万3555トン(同1.5%減)といずれも減少となった。北海道では、主要生産地帯である帯広や中標津など道東の生産量が前年同月を下回る水準で推移している。
用途別生乳処理量を仕向け先別に見ると、牛乳等向けは32万375トン(同0.3%減)と前年同月を下回った。また、乳製品向けも、30万9974トン(同2.6%減)と9カ月連続で前年同月を下回る結果となった(農林水産省「牛乳乳製品統計」)。
平成28年度の生乳生産量は、北海道が389万5537トン(前年度比0.1%減)と前年度並みとなったものの、都府県が345万417トン(同1.6%減)とわずかに減少したことから、734万5954トン(同0.8%減)とわずかな減少にとどまった。都府県については、離農などにより酪農家戸数が減少傾向で推移していることから、4年連続の減少となった。北海道については、28年4〜8月まで前年同月を上回っていたものの、8月下旬に発生した台風の影響などにより、粗飼料の品質などが低下し生産量が落ち込んだことから、前年並みとなった。
平成28年度の生乳の用途別処理量のうち、牛乳等向けは398万4122トン(前年度比0.8%増)と2年連続で増加となった(表4)。この増加の背景として、牛乳需要増や好調に推移するはっ酵乳需要が挙げられる。加えて、年初に牛乳が健康に良い効果をもたらすと報道されたことなどもある。同年度の牛乳やはっ酵乳の生産量を見ると、それぞれ同1.5%増、同1.0%増とともに2年連続で前年度を上回った。
一方、乳製品向けは、牛乳等向けの増加を受け、331万537トン(同2.6%減)とやや減少した。このうち、脱脂粉乳・バター等向けも、154万8147トン(同5.4%減)とやや減少となった。
この結果、同年度のバター生産量は6万3583トン(同4.1%減)、脱脂粉乳は12万3500トン(同5.1%減)と共にやや減少した。
平成28年度の推定出回り量は、バターが7万3215トン(前年度比2.7%減)、脱脂粉乳が13万6720トン(同0.4%増)となった。バターは、追加輸入などで外国産の供給量は増加しているものの、大口需要者価格が高値で推移していることから、大口需要者などが調製食用脂(PEF)などにシフトしたとみられるため、前年度をわずかに下回った。一方、脱脂粉乳は、はっ酵乳需要が高いことから、前年度をわずかに上回った。
この結果、推定期末在庫は、バターが2万4481トン(同11.0%増)とかなり大きく増加し、脱脂粉乳が4万8199トン(同14.6%減)と減少した。
(畜産需給部 山神 尭基)