需給動向 海外 |
◆中 国◆
2017年、生産量が減少し輸入は増加する見込み
2017年1〜2月の豚肉輸入量は、国産豚肉の供給減少などから、前年同期比30%増の22万トンとなった(表5)。
輸入先国別に見ると、引き続き輸入の中心を占めるEU諸国は増加しており、中でもオランダが同58%増、スペインが同53%増と伸びが大きい。その他の地域からの輸入も総じて増加しており、米国(同11%増)、カナダ(同78%増)のほか、昨年に引き続きブラジル産の伸びが著しく、同449%増の1.2万トンとなっている。
USDAが4月に公表した2017年の需給予測では、生産性は向上しているものの、環境規制の強化による影響で繁殖用母豚頭数が引き続き減少傾向で推移することから、国内生産は漸減傾向で推移すると見込んでいる(表6)。
2017年の輸入量は、前年の大幅増(前年比112%増)に対し、小幅な増加(前年比5.0%増)にとどまるとしている。
中国では肉製品の輸入に際し、許可された指定港を通じてしか輸入できない港指定制度を実施している。国務院の所属の国家質量監督検験検疫総局の公表によると、2017年1月現在の肉製品輸入指定港は61カ所に増加したとしており、指定港の増加により豚肉の輸入量は今後さらに増加すると見込まれる。
農業部が公表する豚飼養頭数は、2016年2月以降増加傾向で推移していたが、例年と同様、春節の需要期に向けてと畜が進み、2017年2月には前年同月比3.0%減の3億5594万頭となっている(図11)。
前年比で減少している背景としては、繁殖用母豚頭数が依然として減少傾向で推移していることが挙げられ、3月は前年同月比3.0%減の3636万頭となっている。
一部の地方政府は、春節期の豚肉需給調整として、備蓄豚肉を放出した。このような動きもあったことから、春節後の生体豚出荷価格と豚肉小売価格は比較的落ち着いている。
2016年5月以降下降していた生体豚出荷価格は、需要の高まる春節期に上昇した後、再び下降に転じており、3月第5週の平均価格は1キログラム当たり16.3元(260円:1元=16円)となっている(図12)。
豚肉小売価格も生体価格と同様に春節後下降している(図13)。直近では、2017年3月の平均価格は、1キログラム当たり30.2元(483円)となっている。
(調査情報部 木田 秀一郎)