需給動向 国内 |
平成28年度の豚肉生産量、わずかに前年度を上回る |
平成29年3月の豚肉需給を見ると、生産量は7万9126トン(前年同月比0.2%減)と前年同月並みとなった。一方、輸入量は8万1243トン(同12.9%増)と前年同月をかなり大きく上回った。輸入量のうち、主にテーブルミートとして消費される冷蔵品は3万6443トン(同13.7%増)、主に加工業務用として使用される冷凍品は4万4800トン(同12.2%増)と、いずれも5カ月連続で前年同月を上回った。推定出回り量は前年同月をわずかに上回る15万3901トン(同2.5%増)となり、推定期末在庫は前月から6415トン積み増し、17万7519トン(同4.8%増)と前年同月をやや上回った(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。
平成28年度の生産量を見ると、下半期に一時的に前年同月をやや下回ったものの、上半期は、平成25年から26年にかけて国内で発生した豚流行性下痢(PED)の影響からの回復などにより前年同月を上回って推移したことから、89万4227トン(前年度比0.7%増)と前年度をわずかに上回った(表2、図3)。
平成28年度の輸入量を見ると、87万7006トン(前年度比6.2%増)と3年連続で前年度を上回った。このうち冷蔵品は、36万4034トン(同6.8%増)と前年度をかなりの程度上回った。近年、増加傾向にある冷蔵品は、主要産地である北米産が平成26年に現地で発生したPEDの影響からの回復に伴い現地相場安となったことに加え、国内の好調な需要に支えられたこともあり、前年度を上回る輸入量となった。また、冷凍品もスペイン産などEUからの輸入量が増えたことから51万2951トン(同5.8%増)と前年度をやや上回った。
平成28年度の推定出回り量は、前年度をわずかに上回る176万2547トン(前年度比2.4%増)であった。このうち国産品は89万3782トン(同0.7%増)と前年度をわずかに上回った。輸入品は、86万8765トン(同4.2%増)となり前年度をやや上回った。この結果、全体に占める国産品のシェアは50.7%、輸入品のシェアは49.3%となった。
また、28年度末の推定期末在庫は、17万7519トン(同4.8%増)と前年度をやや上回った。同在庫は、4〜10月まで前年同月を下回って推移したが、11月以降は輸入量の増加に伴い、前年同月を上回って推移し、年度末には18万トン弱の水準となった。
平成28年度の豚枝肉卸売価格(東京・大阪市場の省令規格加重平均)を見ると、前年度をわずかに下回る1キログラム当たり528円(前年度比2.2%安)となった。上半期は、季節性に準じて推移し、5〜6月には前年同月を上回ったものの、7〜8月は昨年の価格が高かったこともあり前年同月を下回って推移した。下半期は、現地相場安となっている北米産の冷蔵品やEUからの冷凍品の輸入量が増加傾向で推移したものの、豚肉需要が強かったことから、12月、2月を除き前年度よりも高い水準で推移した(図4)。
(畜産需給部 小林 智也)