需給動向 国内 |
平成28年12月の牛肉需給を見ると、生産量は3万336トン(前年同月比3.8%減)と前年同月をやや下回った。品種別では、和牛が1万4540トン(同7.0%減)、乳用種が7955トン(同7.6%減)と減少した一方、交雑種は酪農家における乳用種への黒毛和種交配率の上昇により、7430トン(同7.0%増)と6カ月連続で前年同月を上回った。
輸入量は、冷蔵品が2万3052トン(同22.9%増)、冷凍品が2万1958トン(同21.0%増)となり、合計で4万5080トン(同21.9%増)と前年同月を大幅に上回った。
推定出回り量は前年同月をやや上回る8万299トン(同5.2%増)となり、推定期末在庫は前月から5186トンを取り崩し、10万7940トン(同18.5%減)と12カ月連続で前年同月を下回った(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。
冷蔵品輸入量、米国産のシェア拡大
平成28年(1〜12月)の牛肉輸入量は、50万3323トン(前年比1.8%増)と前年をわずかに上回った。
このうち、冷蔵品は22万8847トン(同11.9%増)と前年をかなり大きく上回った。国別に見ると、最大のシェアを占める豪州産は11万6963トン(同8.4%減)とかなりの程度減少した一方、次いで輸入量の多い米国産は10万1493トン(同50.5%増)と大幅に増加した(図1)。
豪州産は、日豪EPAによる関税メリットがあるものの、現地のと畜頭数が前年比約2割減と大幅に減少した結果、生体価格が過去最高値を記録するなど、一年を通して高値で推移した。そのため、生産量の回復により供給・価格面で安定した米国産への切り替えが進んだものとみられる。この結果、冷蔵品輸入量に占めるシェアは、豪州産が27年の62.4%から51.1%へと11.3ポイント減少、米国産は33.0%から44.3%へと11.3ポイント増加し、米国産のシェアは15年の米国でのBSE発生以降、最高となった。
一方で、冷凍品輸入量は、27万3738トン(同5.3%減)と前年をやや下回った。国別に見ると、豪州産が15万5825トン(同3.1%減)、米国産が9万87トン(同7.7%減)といずれも減少した。在庫調整や冷蔵品輸入量の増加に伴う凍結回しの発生などが影響したものとみられる。
平成28年の牛肉輸出量、過去最高の1909トン
平成28年の牛肉輸出量は1909トン(前年比18.5%増)、輸出金額は136億円(同23.1%増)と過去最高を更新した(図2)。
各国での輸出促進プロモーションの実施など、国を挙げて輸出振興を図ってきたことなどもあり、農林水産省「農林水産物・食品の輸出戦略」の28年までの中間目標113億円(1800トン相当)を上回る実績となった。
輸出量は、国内生産量の0.6%(和牛生産量に占める割合は1.3%)にとどまるが、輸出相手国は、香港や米国、シンガポールなどを中心に、30カ国以上にわたる。世界的な和食ブームなどが追い風となり、31年に輸出金額250億円(4000トン相当)とする目標に向けて、増加が続いている。
(畜産需給部 二又 志保)