需給動向 海外

◆米 国◆

牛飼養頭数は3年連続で増加


肉用繁殖後継牛は記録的水準

米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2017年1月31日に公表した「Cattle」によると、同年1月1日時点の牛総飼養頭数は、前年比1.8%増の9358万5000頭と、牛群再構築が進み、3年連続で増加した(表1)。種類別に見ると、肉用繁殖雌牛(経産牛)は同3.5%増の3121万頭と記録的水準となった。また、肉用繁殖後継牛は同1.2%増の641万9000頭と、1995年以降の最高を前年に続き更新した。

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また、州別に牛総飼養頭数を見ると、全米第2位のネブラスカ州(645万頭)は前年並みとなったものの、全米第1位のテキサス州(1230万頭、前年比4.2%増)やオクラホマ州(500万頭、同4.2%増)などで増加した。

フィードロット飼養頭数は前年並み

USDA/NASSが2017年1月27日に公表した「Cattle on Feed」によると、2016年12月のフィードロットへの導入頭数は、179万5000頭と、前年の減少の反動もあり前年同月比17.6%の増加となった。一方、フィードロットからの出荷頭数は、同6.8%増の178万7000頭となった。

この結果、2017年1月1日時点のフィードロット飼養頭数は、同0.3%増の1060万5000頭と3カ月ぶりに前年を上回った(図1)。

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肥育牛価格は今後も安値の見込み

米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2017年1月の肥育もと牛価格は前年同月比22.3%安の100ポンド当たり135米ドル(1キログラム当たり342円:1米ドル=115円)、肥育牛価格は同9.5%安の同120.50米ドル(同306円)と、3カ月連続で上昇した(図2)。2017年前半の肥育牛価格についてUSDAは、2016年第4四半期のフィードロット導入頭数が多かったことから、肥育牛販売頭数が増加し、価格の抑制要因となるとしている。

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牛肉生産量はかなりの程度前年を上回る

USDA/NASSが2017年1月19日に公表した「Livestock Slaughter」によると、2016年12月のと畜頭数は、フィードロットの出荷頭数の増加により、前年同月比6.5%増の261万2000頭となった。種類別に見ると、去勢牛は同5.6%増の137万9000頭、未経産牛は同9.2%増の70万3000頭、肉用繁殖雌牛は同12.6%増の23万4000頭となった。

12月の1頭当たり枝肉重量(連邦政府検査ベース)は、同0.4%減の379キログラムとなったものの、牛肉生産量は、と畜頭数の増加により同6.2%増の98万6000トンと、5カ月連続で前年を上回った(図3)。

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また、2016年の牛肉生産量は、と畜頭数および1頭当たり枝肉重量がいずれも前年を上回ったことから、前年比6.4%増の1143万6000トンとかなりの程度増加した。

2017年の牛肉生産量についてUSDAは、フィードロット導入頭数およびと畜頭数が前年を上回るとの見込みから、同2.9%増の1177万3000トンと見込んでいる。

(調査情報部 渡邊 陽介)


				

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