需給動向 国内 |
平成28年の鶏肉輸入量、前年に続き50万トン超え |
平成28年12月の鶏肉需給を見ると、生産量は14万6525トン(前年同月比0.1%増)と前年同月をわずかに上回った。輸入量は、ブラジル産が現地の生産コスト上昇を受けた減産傾向などにより、2万832トン(前年同月比34.2%減)と前年同月を大幅に下回り、全体では3万3031トン(同20.6%減)となった。推定出回り量は19万5269トン(同1.7%増)となり、推定期末在庫は輸入量の減少により、前月から1万5713トンを取り崩し、14万6058トン(同6.3%増)となった(財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。
輸入量、3年連続で増加
平成28年(1〜12月)の鶏肉輸入量は、55万1181トン(前年比4.1%増)と前年をやや上回った。25年12月のタイ産の輸入解禁以降、増加傾向で推移しており、牛肉・豚肉と比べて安価な鶏肉の底堅い需要や、輸入価格(CIF)が16カ月連続で前年を下回るなど輸入しやすい環境にあったこともあって、前年に続き50万トンを上回る輸入量となった(図5)。
国別に見ると、7割以上を占めるブラジル産については、上半期のレアル安米ドル高の為替相場などを受け、41万5827トン(同1.7%増)と前年をわずかに上回った。約2割を占めるタイ産については、好調な輸出需要を背景に現地の増産意欲は高く、10万9906トン(同19.0%増)と前年を大幅に上回った。
もも肉卸売価格、7カ月ぶりに前年を上回る
平成28年1月の国産鶏肉卸売価格を見ると、テーブルミートに仕向けられる割合の高いもも肉は、12月の最需要期以降も、気温の低下に伴い、鍋などの季節需要を背景に好調に推移しており、1キログラム当たり703円(前年同月比1.8%高)と7カ月ぶりに前年同月を上回った。一方、加工・業務用に仕向けられる割合の高いむね肉は、同270円(同9.8%安)と前年の相場高の反動もあり、13カ月連続で前年同月を下回った。
鳥インフルエンザの発生状況
農林水産省消費・安全局動物衛生課の発表によると、平成28年11月28日以降、全国各地で高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)が確認され、発生農場では飼養家きんの殺処分・埋却などの防疫措置が施された。
29年2月17日現在、肉用鶏では、宮崎県川南町、宮崎県木城町において2件、肉用種鶏では、佐賀県江北町において1件発生が確認されており、遺伝子解析の結果、いずれもH5N6亜型と判明し、それぞれ約28万羽、約7万羽が殺処分された。
(畜産需給部 河村 侑紀)