需給動向 国内 |
平成29年1月の鶏卵卸売価格(東京、M玉基準値)は、1キログラム当たり179円(前年同月比3円安)と11カ月連続で前年同月を下回った(図9)。
1月は、例年通り年末年始にかけて、加工筋や量販店の一部休業などにより発生した生産部門の在庫が一斉に流通したことから、29年初値は同165円と前年終値から80円安のスタートとなった。1月中旬以降は、年末年始の在庫が一掃されたことに加え、学校給食の再開やすき焼きなどの季節需要などにより、同価格は上昇基調で推移したものの、月平均は依然として前年同月を下回る結果となった。
今後については、供給面では、例年通りならば、需要期である12月を過ぎて生産調整を行う動きも予想され、生産量が減少することも考えられる。一方、需要面では、寒さが和らぐまでは、引き続き季節需要などもあることから、相場は強含みの展開になるとの声もある。
5カ月ぶりに鶏卵価格差補塡事業が発動
平成29年2月1日、(一社)日本養鶏協会は、鶏卵生産者経営安定対策事業のうち、鶏卵価格差補塡事業に係る1月の補塡額(注2)を1キログラム当たり17.118円と発表した。
この事業は、当該月の標準取引価格(規格卵(注3)における1キログラム当たりの加重平均価格)が補塡基準価格を下回った場合、その差額の9割を生産者に補塡するものである。1月は標準取引価格169.98円が補塡基準価格189円を19.02円下回ったことから、28年8月以来5か月ぶりに発動されることとなった。
例年1月は、夏場同様、鶏卵相場が低迷するため発動することが多く、3年連続で補塡金が支払われることとなった。
(注2) 補塡額とは、標準取引価格と補填基準価格の差額(補填基準価格と安定基準価格との差額を上限とする)の9割のことをいう。
(注3) 規格卵とは、JA全農たまご株式会社の東日本営業本部および西日本営業本部において販売された、鶏卵規格取引要綱に定める箱詰鶏卵規格およびパック詰鶏卵規格に定める全種類の鶏卵のことをいう。
(畜産需給部 河村 侑紀)