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2016 / 17年度の生乳生産、前年度比5%以上減との見方も
生乳生産、減少続く
デーリー・オーストラリア(DA)によると、2016年12月の生乳生産量は、86万9000キロリットル(89万5100トン相当、前年同月比4.1%減)と、減少幅は小さくなったものの、2015年10月以降、15カ月連続での前年同月割れとなった(図21)。この結果、2016/17年度(7月〜翌6月)の12月までの累計生乳生産量は、499万4700キロリットル(514万4500トン相当、前年同期比8.6%減)となった。
こうした減産の背景には、大手乳業メーカーの生産者支払乳価の引き下げを受け、酪農家の増産意欲が低下していることがあるとみられている。
今年度の生産見通しについては、現地専門家によると、春先からの潤沢な降雨により低減傾向で推移する生産コストや、回復基調にある国際相場を受けた生産の回復を考慮しても、前年度比5%以上の減産が見込まれている。
乳製品輸出、全粉乳で大幅増
DAが発表した、2016年11月の乳製品の主要4品目の輸出量は、以下の通りとなった(表8、図22)。
主要4品目のうち、全粉乳は、中国やスリランカ、ベトナム向けの増加により、前年同月を大幅に上回った。チーズは、中国や米国の輸入需要が好調であることなどから、前年同月を上回った。
一方、脱脂粉乳は、インドネシアやフィリピン向けが、EU産からの切り替えなどにより増加したものの、タイ向けが前年の反動から減少したことで、やや減少した。バターは、米国向けが堅調な需要により、韓国向けがEU産からの切り替えなどにより、それぞれ増加した一方、マレーシアや中国、UAE向けが、ニュージーランド産へのシフトなどにより減少したことで、前年同月を大幅に下回った。
生産者乳価、引き上げの動きも
現地報道によると、チーズを主に生産している乳業メーカーのベガ社は、1月19日、生産者支払乳価について、乳固形分1キログラム当たり5豪ドル(440円:1豪ドル=88円)から、同5.13豪ドル(451円)へ引き上げると発表した(注4)。
これについて同社代表は、乳製品国際価格が、2016/17年度当初に見込んだ通り回復傾向にあり、今後も順調な上昇が見込まれるためとしている。報道によると同社は、豪州最大手の酪農協系乳業メーカーであるマレーゴールバン(MG)社の集乳シェアが特に低下しているとされる、ビクトリア州北部において、集乳シェアの奪還を目指している。
なお、現地専門家によると、集乳シェアが低下しているとされるMG社の今年度の集乳量は、265〜280万キロリットル(273〜288万トン相当)程度にとどまり、前年度比20〜25%近い大幅減となる可能性もあるとしている。
(注4) 今年度の豪州における、生乳に占める乳固形分(乳脂肪と乳タンパク質の合計。乳糖は含まない。)の比率は、7.49%となっている。この比率で割り戻すと、乳固形分1キログラムは、生乳13.38キログラムに相当する。
(調査情報部 竹谷 亮佑)