需給動向 国内 |
生乳生産量は4カ月連続で減少
平成28年12月の生乳生産量は、粗飼料の品質低下などに加え、北海道および都府県の一部地域で寒波により乳量の低下がみられたことなどから、60万9935トン(前年同月比1.7%減)と4カ月連続で前年同月を下回った(図7)。内訳を見ると、北海道は32万2184トン(同1.9%減)、都府県は28万7751トン(同1.4%減)となった。また、28年4〜12月までの累計は、552万7128トン(前年同期比0.2%減)と前年水準をわずかに下回っている。
用途別生乳処理量を仕向け先別に見ると、牛乳等向けは、牛乳やはっ酵乳の底堅い需要から、31万2143トン(同0.3%増)と14カ月連続で前年同月を上回った。一方、乳製品向けは、牛乳等向けの増加により29万3579トン(同3.6%減)と6カ月連続で前年同月を下回った(農林水産省「牛乳乳製品統計」)。
平成28年12月の脱脂粉乳在庫、23カ月ぶりに前年割れ
平成28年12月の脱脂粉乳の生産量は、1万3084トン(前年同月比5.8%減)と6カ月連続で前年同月を下回り、28年4月から12月までの累計では、9万613トン(前年同期比2.8%減)となった。一方、脱脂粉乳の需要は、原料として脱脂粉乳を多く利用するはっ酵乳の生産量が、健康志向の高まりやインフルエンザの感染リスクを低減するなどの広告・宣伝により、12月単月で前年同月比1.7%増、4月〜12月までの累計でも前年同期比2.9%増となるなど堅調に推移している(図8)。12月の脱脂粉乳の在庫量は、4万7660トン(前年同月比1.9%減)と23カ月ぶりに前年同月を下回った。
平成29年度の需給見通しを公表
一般社団法人Jミルクが平成29年1月27日に公表した「平成29年度の生乳及び牛乳乳製品の需給見通しと当面の課題について」によると、北海道では生産の主力となる2〜4歳の乳牛頭数が下期には前年度水準となることから、通年で391万1000トン(前年度比0.2%増)とわずかに前年を上回るものの、都府県が336万トン(同2.8%減)と減少が見込まれている。このため、前年度を1.2%下回る727万1000トンと予測している(表)。
また、乳製品の需給を見ると、脱脂粉乳の生産量は加工原料向け生乳の減少を受け、12万トン(前年度比4.0%減)と減少見込みとなる。推定出回り量(注1)は前年度並み(13万4800トン)とみられることから、1万4800トンの不足が見込まれている。
バターについては、生産量6万2400トン(同4.0%減)と見込まれるものの、不足量は6100トンと脱脂粉乳よりは少ないものと見込まれている。
(注1) 推定出回り量は、消費量や販売量を表すものではないことに留意が必要。
農林水産省、29年度輸入を決定
同日、農林水産省は平成29年度全体で、機構が29年2月以降、脱脂分粉乳、バター、それぞれ1万3000トンの輸入入札を実施することを公表した。今回のように年度内の輸入数量が示されたことにより、需要者にとってはこれまでよりも年間を通した調達計画を立てやすくなり、需給全体の安定に繋がるものとみられる。また、この輸入により脱脂粉乳については、今後の生乳生産に不安定要因はあるものの、需給は安定に向かうとみられる。また、バターについても、不足分を上回る輸入入札が実施されることで、需給は安定的に推移すると見込まれる。
(畜産需給部 山神 尭基)