需給動向 海外

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生乳の減産続き、国際需給は安定の兆しも


生乳生産、北島を中心に減少続く

ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2016年12月の生乳生産量は、春先の天候不順による牧草の生育や栄養価の悪化の影響を引きずり、268万9000トン(前年同月比2.8%減)とわずかに減少した(図23)。

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ニュージーランド(NZ)の生乳生産のピークに当たる10月以降、3カ月連続の減産となった結果、2016/17年度(6月〜翌5月)の累計生乳生産量は1286万トン(前年同期比3.0%減)となった。

集乳シェアの8割超を占める最大手乳業メーカーであるフォンテラ社の12月の集乳量は、全体では前年同月比4.8%減となったが、北島では、主産地のワイカト地方を中心に天候不良の影響が大きく、同6.0%減とかなりの程度の減少となった。

なお、現地報道によると、今後NZでは、環境負荷軽減の観点から、排水処理や新規農地取得などに対する規制が強化されるとみられており、業界団体は、長期的には酪農産業の発展や新規参入に影響を及ぼす可能性があるとして、懸念を示している。

12月乳製品輸出、チーズのみ微増

ニュージーランド統計局(Statistics NZ)によると、2016年12月の乳製品の主要4品目の輸出量は、以下の通りとなった(表9、図24)。

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品目別に見ると、主要4品目のうち唯一、前年同月を上回ったチーズは、中国や豪州向けの増加が目立っており、2016年合計では堅調な需要に支えられた韓国向けが増加した。全粉乳は、UAEをはじめとした中東向けが減少したものの、中国向けが大幅に増加したことで、前年同月並みとなった。

一方、脱脂粉乳とバターは、それぞれ中国向けと米国向けの減少により、前年同月を下回った。

乳製品国際価格、需給拮抗に伴い安定

2017年1月17日に開催された、乳製品価格の指標とされるグローバルデーリートレード(GDT:フォンテラ社主催の電子オークション、月2回開催)の 1トン当たり平均取引価格は、以下の通り、粉乳類はわずかに下落したが、バターとチーズはわずかに上昇した(表10、図25)。

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年明けの2回の入札は、いずれも大きな価格変動がみられなかったが、現地報道は、乳製品の国際需給が拮抗しつつあり、国際価格は今後しばらくの間、現在の水準で安定的に推移するとしている。

今年度の生産者乳価については、専門家の中には、粉乳類の国際価格の上昇が鈍いことから、下落を懸念する向きもあるものの、乳固形分1キログラム当たり6〜6.5NZドル(510〜553円:1NZドル=85円)まで上昇を続けるとの見通しが大方を占めている(注5)

(注5) 今年度のNZにおける、生乳に占める乳固形分(乳脂肪と乳タンパク質の合計。乳糖は含まない。)の比率は、8.57%となっている。この比率で割り戻すと、乳固形分1キログラムは、生乳11.67キログラムに相当する。

(調査情報部 竹谷 亮佑)


				

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