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2016年、生乳生産量は過去最高を記録
12月の生乳生産も好調
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2017年1月24日に公表した「Milk Production」によると、2016年12月の乳用経産牛飼養頭数は、前年同月比0.4%増の935万8000頭となった。なお、USDAによると、同月の乳用牛のと畜頭数は、生体牛価格安により生産者が乳用牛の淘汰に消極的なことなどから、同1.0%減となった。
また、同月の1頭当たり乳量は、同1.8%増の865キログラムとなり、生乳生産量は、同2.2%増の810万トンとなった(図14)。
2016年の生乳生産量は、乳用経産牛飼養頭数と1頭当たり乳量がいずれも増加したことから、前年比1.9%増の9639万3000トンとなり、過去最高を記録した。
バター生産量は3カ月連続で前年を下回る
USDA/NASSが2017年2月2日に公表した「Dairy Products」によると、2016年12月のバターの生産量は、前年同月比6.7%減の7万4000トンとなり、3カ月連続で前年を下回った(図15)。この要因としてUSDAは、クラスU(注3)製造者からのクリーム需要の増加に加え、バターの在庫過多による価格下落懸念による生産抑制を挙げている。なお、同月のヨーグルトおよびサワークリームの生産量は、それぞれ前年同月比2.5%増および同10.3%増となった。
また、同月のチーズの生産量は、生乳生産量の増加と堅調な国内需要に後押しされ、同1.3%増の47万6000トンとなった(図16)。
(注3) クラスUは、連邦生乳マーケティング・オーダー制度における用途区分で、アイスクリームやヨーグルト向け。なお、クラスTは飲用乳向け、クラスVはチーズやホエイ向け、クラスWはバターや脱脂粉乳向け。
バターの在庫量は記録的水準
USDA/NASSが2017年1月24日に公表した「Cold Storage」によると、2016年12月末時点のバターの冷凍在庫量は、2016年9月以降、前年同月比で見た増加幅が縮小傾向にあるものの、なおも前年同月比12.8%増の7万9000トンと、12月としては1993年以来の高水準となった(図17)。
同時点のチーズの冷凍在庫量は、同5.3%増の54万7000トンとなり、生産量の増加により2014年11月以降前年を上回って推移している。
バターの卸売価格は上昇
米国農務省農業マーケティング局(USDA/AMS)によると、2016年12月のバターの卸売価格は、堅調な需要などにより前月から9.4%上昇し、1ポンド当たり217.6米セント(1キログラム当たり552円:1米ドル=115円)となった(図18)。
一方、チーズの卸売価格は、前年同月比15.0%高の同206.1米セント(同523円)となったものの、前月からは下落した。
今後の乳製品価格についてUSDAは、高い需要が続くことにより上昇すると見込んでいる。
(調査情報部 渡邊 陽介)