需給動向 海外

◆中 国◆

2016年の輸入量は過去最高


2016年の豚肉輸入量急増

2016年の豚肉輸入量は、国産豚肉供給の制約から、前年比108%増の162万49トンと過去最高の水準となった(表6)。輸入先国別に見ると、全体の6割以上がEU諸国で、EU全体では109万8559トン(同89%増)となり、各国とも輸入が増加しているが、中でもオランダが同305%増、フランスが同103%増と伸びが大きい。

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しかし、その他の地域の方が伸び率では上回っており、米国(同112%増)、カナダ(同192%増)のほか、ブラジルの伸びが著しく、同2373%増の8万トンに達している。

豚飼養頭数は低水準が継続

中国農業部が公表する豚飼養頭数は、2016年2月以降増加傾向で推移していたが、例年と同様、需要期が近づいてと畜が進んだ結果、同年12月は同年2月ごろと同じ水準の3億6731万頭となっている(図11)。

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一方、繁殖用母豚頭数は、依然として減少傾向で推移しており、12月は前年同月比3.4%減の3669万頭となっている。

生産の集約化を反映し種豚の輸入頭数は増加

中国の種豚輸入は、2012年の1万7789頭をピークに近年は減少していたが、2016年は前年比29%増の5746頭となった。調達先国は年により変動が大きいが、同年はカナダが全体の63%と過半数を占めた(表7)。中国の養豚はインテグレーターなどの大規模農場が増加する一方、庭先養豚などの小規模経営は環境規制の強化などを背景に急速に減少しているとされ、同年のインテグレーターによる生産は前年比で3割近く増加しているとも言われている。国内生産基盤の強化につながる種豚の輸入が増加していることは、大手経営を中心として今後の生産が回復する前兆とも受け取られている。

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春節を前に国内価格は下げ止まり

2016年5月以降下降していた生体豚出荷価格は、年間を通じて最も豚肉需要の高まる春節を前にわずかながら上昇に転じており、12月第4週の平均価格は1キログラム当たり17.5元(298円:1元=17円)となっている(図12)。

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豚肉小売価格は基本的に高水準で推移しているものの2016年6月以降は下降傾向となり、11月下旬以降は生体価格と同様に上向きに転じている。(図13)。直近では、2017年1月第2週の平均価格は同31.5元(536円)となっている。

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春節期の豚肉需給の混乱を避けるため、一部の地域では地方政府の備蓄する豚肉などの放出を図る動きも始まっている。現地報道によると、貴州省では備蓄豚肉2000トンが市場に放出されるほか、江蘇省泰州市では生体豚8000頭が放出されるとしている。これらの措置により消費者心理の安定は一定程度図れるものの、当面、価格の上昇は続くと見込まれている。

(調査情報部 木田 秀一郎)


				

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