需給動向 国内 |
平成28年豚肉輸入量、前年比8.9%増 |
平成28年12月の豚肉需給を見ると、生産量は、8万498トン(前年同月比0.2%減)と前年同月をわずかに下回った。輸入量は冷蔵品、冷凍品ともに前年同月を上回り、7万3575トン(同8.7%増)と前年同月をかなりの程度上回った。推定出回り量は前年同月をわずかに上回る15万6000トン(同1.5%増)となり、推定期末在庫は前月から1999トン取り崩し、16万2237トン(同5.4%増)と、前年同月をやや上回った(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。
冷凍品輸入量、調達先の多角化進む
平成28年(1〜12月)豚肉輸入量は、86万456トン(前年比8.9%増)と前年をかなりの程度上回った。このうち、冷凍品は、50万5177トン(同8.0%増)と前年をかなりの程度上回った。
冷凍品は、主にハム、ソーセージなどの加工原料として使用され、近年は調達先の多角化が進んでいるが、28年は、北米からの輸入量が減少し、EUが増加した(図3)。EUは、デンマークやスペインが中心となるが、ロシアのEU産豚肉の禁輸措置に伴い、オランダ、ハンガリー、ドイツ、イタリア、フランスなども増加している。
冷蔵品輸入量は、過去最高に
冷蔵品は、35万5256トン(前年比10.3%増)と前年をかなりの程度上回り、過去最高となった(図4)。冷蔵品は、主にテーブルミートとして消費され、米国とカナダで9割以上を占めている。米国産は、20万6228トン(同9.9%増)と前年をかなりの程度上回った。米国では、豚流行性下痢(PED)の影響から回復し、生産量が増加傾向となり、現地相場安になったことから、輸入業者にとって買い付けしやすくなっていたことが影響したと思われる。
また、カナダ産は、13万7165トン(同13.3%増)と前年をかなり大きく上回った。過去6年の年平均増加率が17.1%となっており、冷蔵品輸入量におけるシェアも約4割まで増加している。カナダでは、豚肉の品質向上に取り組んでおり、日本でもカナダ産豚肉を専門に扱うレストランが新たに出店されるなど、品質の良さを売りにした動きもみられる。さらに、米国のPED発生時における代替需要もあり、輸入量が増加したと考えられる。
なお、日本国内の豚肉需要は、牛肉の小売価格上昇などにより強まっており、国産品と競合関係にある冷蔵品輸入量の拡大が国内相場にどのように影響するのか、今後も注視する必要がある。
(畜産需給部 小林 智也)