需給動向 海外 |
◆米 国◆
増産と価格の低下で豚肉輸出量は拡大
豚飼養頭数は前年比3.7%増加し過去最高を更新
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2016年12月23日に公表した「Quarterly Hogs and Pigs」によると、12月1日時点の豚総飼養頭数は、前年比3.7%増の7150万頭と過去最高を更新した(表3)。これは、安値で推移している飼料価格に加え、2017年に予定されている豚と畜場の新設による需要増加への生産者の期待の高まりが要因とみられている。
飼養頭数を種類別に見ると、繁殖豚が同1.5%増の609万頭、肥育豚が同4.0%増の6541万頭となり、肥育豚はいずれの重量カテゴリーも前年を上回った。
2016年9〜11月の分娩母豚頭数は、前年同期比3.9%増の304万3000頭となった。同期間の1腹当たりの産子数は、同0.9%増の10.63頭と過去最高を記録し、産子数は同4.8%増の3233万3000頭となった。
2016年の豚肉生産量は過去最高
USDA/NASSが2017年1月19日に公表した「Livestock Slaughter」によると、2016年12月の豚と畜頭数は、飼養頭数の増加により、前年同月比1.0%増の1046万6000頭、1頭当たり平均枝肉重量(連邦政府検査ベース)は、同0.9%減の95.7キログラムとなった。これにより、同月の豚肉生産量は、前年同月並みの100万2000トンとなった(図7)。
また、2016年の豚肉生産量は、前年比1.8%増の1131万2000トンとなり、過去最高を記録した。
2017年の豚肉生産量についてUSDAは、同5.1%増の1188万6000トンと、さらなる増加を見込んでいる。
豚肉輸出量は大幅増
米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2016年11月の豚肉輸出量は、豚肉生産量の増加と価格低下などから、前年同月比18.0%増の23万1000トンとなった(図8)。輸出先国別に見ると、メキシコ(7万7000トン、前年同月比22.7%増)、日本(5万3000トン、同21.4%増)をはじめ、主要国はいずれも前年を上回った。
2016年の豚肉輸出についてUSDAは、237万2000トンと見込んでいる。また、2017年については、豚肉生産量の増加とそれに伴う価格安により、前年比4.0%増の246万8000トンと見込んでいる。
1月の豚肉価格は輸出の増加などにより上昇
USDA/ERSによると、2017年1月の肥育豚価格(速報値)は、前年同月比11.5%高の100ポンド当たり45米ドル(1キログラム当たり114円:1米ドル=115円)と、依然安値であるものの、2カ月連続で上昇した(図9)。2017年の肥育豚価格についてUSDAは、多くの肥育豚出荷が見込まれることから、同38〜41米ドル(前年比17.7〜11.2%安)と見込んでいる。
また、同月の豚肉卸売価格(速報値)は、豚肉輸出量の増加などにより、同8.9%高の同79.75米ドル(同202円)と、2カ月連続で上昇した。
(調査情報部 渡邊 陽介)