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フィードロット飼養頭数、大幅に増加
豪州統計局(ABS)によると、2017年1月の成牛と畜頭数は、牛飼養頭数の減少と牛群再構築に伴う雌牛の保留により、46万8500頭(前年同月比9.8%減)と減少した(図5)。同月のと畜頭数に占める雌牛の割合は、40.7%と昨年の4〜6月における50%台から10ポイント程度低下しており、雌牛の保留傾向が強まっていることを示している。と畜頭数の減少により、同月の牛肉生産量(子牛肉を除く)は、13万8624トン(同7.3%減)と19カ月連続で前年同月を下回った。
豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、肉牛取引価格の指標となる東部地区若齢牛指標(EYCI)価格は、年明け以降下落傾向で推移してきたが、3月中旬に上昇に転じ、3月30日時点で1キログラム当たり650豪セント(572円:1豪ドル=88円)と前月末と比べて約37セント(33円)上昇した(図6)。これは、高温・乾燥の気候により導入を控えていた牧草肥育業者が、3月の良好な降雨により導入意欲を強めたためとみられる。
豪州フィードロット協会(ALFA)とMLAが共同で調査し、四半期ごとに発表しているフィードロットに関する調査結果によると、2016年12月末のフィードロット飼養頭数は、93万5788頭(前年同月比6.2%減)と記録的な高水準であった前年よりは減少したものの、前回(9月末)比では18.6%増と大幅に増加した(図7)。これは、穀物価格の低下により、もと牛導入コストの上昇を一定程度相殺できていることに加え、牛飼養頭数の減少に伴い、限られた頭数の中でより安定した増体と品質が期待できるフィードロットに対する需要が増加したためとしている。
一方、2016年10〜12月の穀物肥育牛のと畜頭数は、61万8307頭(前年同期比11.6%減)と減少しており、前回(7〜9月)比でも7.7%減となっている。フィードロットの稼働率が前回の65%から75%まで上昇していることから、今後穀物肥育牛の出荷頭数は増えていくものと見られる。なお、と畜頭数全体に占める穀物肥育牛の割合は35.2%と前回からはわずかに減少したものの、牧草肥育牛のと畜頭数も減少していることから、引き続き高い水準で推移している。
(調査情報部 大塚 健太郎)