需給動向 海外 |
◆米 国◆
1〜3月の牛肉生産量は前年同期をわずかに上回る見込み
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が3月24日に公表した「Cattle on Feed」によると、2017年2月のフィードロット導入頭数は、前年同月比0.9%減の169万4000頭となった。これは、干ばつなどにより放牧環境の悪化したカンザス州やオクラホマ州、コロラド州などでフィードロットへの出荷が早まりフィードロット導入頭数が増加(同11.4%増)した前月からの反動と考えられる。一方、フィードロットからの出荷頭数は、パッカーからの堅調な需要により前年同月比3.6%増の164万8000頭となった。
これにより、3月1日時点のフィードロット飼養頭数は、前年並みの1077万2000頭となった(図1)。
米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2017年3月の肥育もと牛価格(注1)は、前年同月比17.9%安の100ポンド当たり150.50米ドル(速報値、1キログラム当たり375円:1米ドル=113円)と前年を大幅に下回った。また、同月の肥育牛価格は、同13.5%安の同119.25米ドル(速報値、同297円)となった(図2)。肥育もと牛価格と肥育牛価格は、牛群再構築の進展による出荷頭数の増加により、それぞれ2015年7月ないし8月以降前年を下回って推移している。
(注1) オクラホマ市場ミディアム、去勢牛600〜650ポンド。
USDA/NASSが3月23日に公表した「Livestock Slaughter」によると、2017年2月のと畜頭数は、前年同月比3.5%増の236万9000頭となった。同月の1頭当たり平均枝肉重量は、フィードロットでの肥育期間が短くなっていることから同1.0%減の372キログラムとなった。この結果、牛肉生産量は、同2.6%増の87万7000トンとなった(図3)。
2017年第1四半期(1〜3月)の生産量についてUSDAは、前年同期比2.5%増の276万トンと見込んでいる。
USDA/NASSが3月22日に公表した「Cold Storage」によると、2017年2月末時点の冷凍牛肉在庫量は、アジアやメキシコ向けを中心に輸出が大幅に増加したことから、前年同月比0.8%減の22万8000トンとなり、8カ月ぶりに前年同月を下回った(図4)。しかし、同在庫量は、過去2番目に高い水準であり、3月の牛肉卸売価格(注2)は同14.7%安の100ポンド当たり191.50米ドル(1キログラム当たり477円)と安値を維持した。
(注2) カットアウトバリュー(各部分肉の卸売価格を1頭分の枝肉に再構成した卸売指標価格)。
(調査情報部 渡邊 陽介)