需給動向 国内

◆鶏 肉◆

3月の国産むね肉相場、前年比約2割高


期末在庫、前年同月比11.3%減

平成29年2月の鶏肉需給を見ると、生産量は、前年がうるう年であった影響もあり、12万366トン(前年同月比2.4%減)と前年同月をわずかに下回った。輸入量は、4万5769トン(同3.5%減)と前年同月をやや下回った。推定出回り量は、前年同月をわずかに上回る16万4034トン(同1.8%増)となった。推定期末在庫は前月から2101トンを積み増したものの、13万9307トン(同11.3%減)と前年同月をかなり大きく下回った(財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

もも肉・むね肉ともに相場堅調

3月の国産鶏肉卸売価格を見ると、もも肉は、年末の最需要期を過ぎて弱含みにあるが、今年は好調な需要などを受け、1キログラム当たり688円(同8.0%高)と前年同月をかなりの程度上回った。輸入品と競合するむね肉は、1月まで前年を大きく下回って推移していたものの、同313円(同19.2%高)と前年同月を大幅に上回った(図5)。これは、最近の輸入量減少や好調な需要によるものと思われる。この結果、もも肉とむね肉の卸売価格の合計は、2キログラム当たり1001円(同11.3%高)と15カ月ぶりに1000円の大台に乗った。採算ラインは、現在同850円前後ともいわれるが、平成25年9月以降、これを超える水準で推移している。

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ブラジル食肉不正問題について

ブラジルの食肉加工業者が衛生基準を満たさない食肉や食肉加工品を国内外へ販売していたことが発覚し、3月21日以降、厚生労働省はブラジル当局の捜査対象となった21施設で処理・加工・製造された鶏肉などの畜産食品の輸入手続きを保留している(4月18日現在)。21施設のうち、日本において、畜産食品の直近の輸入実績があったのは2施設、このうち鶏肉の輸入実績があったのは1施設のみであった。また、21施設以外のブラジル国内の施設で処理・加工・製造された畜産食品については、同日以降、輸入時検査を強化している。

今回捜査対象となった21施設はブラジル全体(約4800施設)のごく一部ではあるが、平成27年度の日本のブラジル産鶏肉輸入量は、42万5930トンと、輸入量全体の約77%、国産や鶏肉調製品を含む全供給量では約17%を占めている(図6)。ブラジル産鶏肉は加工業務用や外食に仕向けられることが多く、国産のむね肉と競合すると言われている。日本国内のシェアが高いことから、問題が長引けば需給への影響も懸念される。

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(畜産需給部 河村 侑紀)


				

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