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生乳生産は引き続き減少、次年度の乳価上昇に期待
デーリー・オーストラリア(DA)によると、2017年2月の生乳生産量は、60万7400キロリットル(62万5600トン相当、前年同月比10.0%減)と、前年同月をかなりの程度下回った(図21)。
これについて専門家は、東部を中心とした高温少雨気候が原因とみている。かんがい用水への依存度が特に高いビクトリア州北部では、牧草生育環境が悪化し、一部で肉用牛生産への転換や離農が進み、2月の生乳生産量は、前年同月を2割以上下回った。
DAが発表した、2017年1月の乳製品の主要4品目の輸出量は、以下の通りとなった(表5、図22)。
主要4品目のうち、全粉乳は、シンガポールや中国、スリランカ向けが増えたことで大幅に増加した。また、チーズは、マレーシアや韓国向けの増加に加えて、中国向けがニュージーランド(NZ)産からの切り替えなどにより増加したことで、前年同月をかなり大きく上回った。
一方、脱脂粉乳は、中国やインドネシアがNZ産からの切り替えなどにより増加したものの、ベトナム向けが減少したことで、前年同月をわずかに下回った。バターは、米国向けや台湾・香港向けが、それぞれEU産、NZ産への切り替えにより減少したことで、前年同月を大幅に下回った。
オランダの農業系金融機関であるラボバンク社は、四半期ごとに実施している豪州農家の経営見通しの調査結果(2017年1〜3月期)を公表した。これによると、特に羊毛生産者と酪農家については、市況の改善が見込まれるとして、見通しを楽観視する者が前回調査時(2016年10月〜12月)より増加している。
中でも、酪農家については、乳製品国際価格が2016年後半から上昇基調で推移していることに伴い、生産者乳価の引き上げが見込まれることに加え、飼料やかんがい用水などが潤沢に手に入ると見込まれることから、見通しが明るいとの回答が多くみられた。
(調査情報部 竹谷 亮佑)