需給動向 海外

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生乳取引価格、4カ月連続前年超えも上げ幅が縮小


生乳出荷量は8カ月連続前年比減少

欧州委員会によると、2017年1月の生乳出荷量(EU28カ国)は、前年同月比2.2%減の1241万トンと8カ月連続の減少となった(図18)。

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加盟国別では、EU最大の生乳出荷国であるドイツ(シェア21%)が同4.1%減、第2位のフランス(同17%)が同5.6%減と、乳価低迷により搾乳牛の淘汰が進められるなどしたため、主要国を中心に減少した。

欧州委員会は3月、農産物の短期的需給見通しを公表し、2017年については、1頭当たりの乳量が前年比2%増となる一方、搾乳牛頭数が同1.6%減となることから、生乳出荷量を同0.6%増にとどまると見込んでいる。

乳価は上昇が一服

欧州委員会によると、2017年2月の平均生乳取引価格(EU28カ国)は、前年同月比14.7%高の100キログラム当たり33.67ユーロ(1キログラム当たり40.74円:1ユーロ=121円)と4カ月連続で前年を上回ったものの、前月比では0.9%高にとどまった(図19)。

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欧州委員会は、3月に公表した2017年の短期的需給見通しの中で、春の生乳出荷のピークに向けて供給量が増える上、膨大な脱脂粉乳の公的在庫を抱えていること、さらには、国際市場において米国の生乳増産が継続することなどが、短期的には乳価の上昇は抑制されると予測している。

バター、輸出需要の増加などにより価格高

バターの平均卸売価格(EU28カ国)は、2016年後半以降、生乳生産が減少した上、内外ともに需要が堅調に推移したことなどにより乳価同様に上昇傾向にあり、同年12月最終週には100キログラム当たり430.37ユーロ(5万2075円)まで上昇した(図20)。その後は、前年を大きく上回りながらも生乳出荷がピークとなる春を目前にして一服している。

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輸出について見ると、2016年は、豪州、アルゼンチンの輸出減によりシェアを拡大するなどして、前年比19.8%増の16万トンとなった(表4)。主な輸出先である米国(同10.9%増)、サウジアラビア(同33.8%増)、エジプト(同13.0%増)のいずれも前年より増加した。日本への輸出量も同63.7%増の5872トンと大幅な増加となった。

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欧州委員会によると、旺盛な需要により、2017年輸出量は前年比10.0%増が見込まれている。

(調査情報部 大内田 一弘)


				

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