需給動向 国内

◆牛乳・乳製品◆

2月のバターおよび脱脂粉乳の生産量はともに減少


生乳生産の回復遅れが鮮明に

平成29年2月の生乳生産量は、前年がうるう年であったことの影響もあり、56万6357トン(前年同月比4.9%減)と6カ月連続で前年同月を下回った(図7)。内訳を見ると、北海道が29万7129トン(同5.1%減)、都府県が26万9228トン(同4.6%減)といずれも減少が継続した。特に北海道では、前年の8月に発生した台風などの影響による粗飼料の品質低下や乳房炎の発生が原因で乳量が低下したことに加え、一部酪農家の畑作への経営転換などにより、道内の主要生産地帯である帯広や中標津など道東の生産減が目立っている。

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用途別生乳処理量を仕向け先別に見ると、牛乳等向けは30万3656トン(同3.2%減)と27年11月以降、初めて前年同月を下回った。また、乳製品向けは、25万8543トン(同6.7%減)と8カ月連続で前年同月を下回った(農林水産省「牛乳乳製品統計」)。

2月のバター・脱脂粉乳生産の減少幅は拡大

2月の乳製品生産量は、バターが4883トン(前年同月比17.8%減)と大幅に減少し、脱脂粉乳が9425トン(同14.0%減)とかなり大きく減少した(表1)。減産の要因は、生乳生産量の減少に加え、北海道における脱脂粉乳・バター等向け以外の生乳仕向け量増加が挙げられる。2月の生産地域別の生乳用途別取引数量を見ると、北海道の飲用牛乳等向けが前年同月比6.7%増、クリーム向けが同1.2%増、ナチュラルチーズ向けが同8.7%増と増加した一方、脱脂粉乳・バター等向けは、同17.7%減となっている(表2)。また、平成29年度から加工原料乳生産者補給金の対象に液状乳製品(生クリーム、脱脂濃縮乳、濃縮乳)向け生乳が加わり、補給金単価や交付対象数量も一本化されるが、これにより今後の生乳需給に何らかの影響が及ぶことも考えられる。

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業務用乳製品価格を改定

乳業メーカー各社によると、乳製品向け乳価(脱脂粉乳・バター等向け、チーズ向け)の値上げに伴い、平成29年4月から国産の業務用乳製品の価格が順次、改定されている。価格改定の背景には、飲用牛乳やはっ酵乳の底堅い需要により生乳需要が高まっている中で、生乳生産が減少傾向で推移していることが挙げられる。

一方で、酪農現場では、高齢化などによる離農や乳用後継牛への黒毛和牛の種付け増により、生産基盤の低下が懸念されている。生乳の再生産を促す面も含め、今回の価格改定は、酪農家の増産意欲に寄与するとみられる。

 

 (畜産需給部 山神 尭基)


				

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