需給動向 海外 |
生乳生産は回復、次年度乳価に期待高まる
ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2017年2月の生乳生産量は、190万9000トン(前年同月比2.9%減)となった(図23)。2016/17年度(6月〜翌5月)の累計生乳生産量は、1718万1000トン(前年同期比2.7%減)となった。
集乳シェアの8割超を占める最大手乳業メーカーであるフォンテラ社の2月の集乳量は、南島では、天候の回復などにより、前年同月比1.5%増と前年同月を上回ったものの、シェアの6割を有する北島が同5.0%減となったことから、NZ全体としては同2.2%減となった。
フォンテラ社によると、今年度上半期の集乳量は、春先の天候不順に伴う牧草の生育不良もあり、前年同期比7%減とかなりの程度減少した。しかし、年度全体では、秋にかけて天候が回復してきたことを受け、前年度比3%減となり、減少幅は小さくなるとしている。
ニュージーランド統計局(Statistics NZ)によると、2017年2月の乳製品の主要4品目の輸出量は、以下の通りとなった(表6、図24)。
主要4品目全てで前年同月を下回ったが、全体的には、中国や中東、アフリカの需要の高まりを受け、脱脂粉乳から全粉乳へシフトする傾向が続いている。全粉乳とバターは、輸出量は前年同月を下回ったものの、輸出金額ベースでは、国際市況の回復を受け、それぞれ前年同月比14.5%増、同23.5%増と前年同月を上回っている。チーズは、中国向けが増加した一方、日本向けが減少したことで、同17.3%減と大幅に減少した。
2017年3月21日に開催された、乳製品価格の指標とされるグローバルデーリートレード(GDT:フォンテラ社主催の電子オークション、月2回開催)の1トン当たり平均取引価格は、以下の通り、全粉乳とバターは上昇した一方、脱脂粉乳とチーズは下落した(表7、図25)。
現地専門家によると、全粉乳は、入札数量が前回比10%近く増加したものの、中国をはじめとした世界全体の需要が十分にあることなどを受け、上昇に転じたとみている。一方、脱脂粉乳は、米国の生産増やEUの在庫増などを受け、価格の下落が続いているとみている。
現地報道によると、こうした国際価格の回復を受け、次年度(2017/18年度)当初の生産者乳価については、フォンテラ社の今年度当初の水準(乳固形分1キログラム当たり3.90NZドル(312円:1NZドル=80円))の1.5倍以上となる、同5NZドル台後半となるとしている。
(調査情報部 竹谷 亮佑)