需給動向 海外

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豚価は高水準を維持、生産量は前年並み


1月の生産量は前年同月並み

欧州委員会によると、2017年1月の豚枝肉生産量(EU28カ国)は、前年同月比0.1%増の196万トンとなった(図13)。

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EU第2位の生産国のスペイン(シェア20%)が同7.7%増、第3位のフランス(同10%)が同11.3%増となるなどかなり増加した国がある一方、第7位のデンマーク(同5%)が同19.6%減となったのをはじめ、第4位のポーランド(同8%)が同5.8%減、第6位のイタリア(同6%)が同6.8%減となるなど加盟国間で差が大きい結果となった。なお、第1位のドイツ(同23%)は同1.3%減であった。

欧州委員会は3月、農産物の短期的需給見通しを公表し、2017年については、繁殖雌豚頭数の減少から子豚生産頭数が減少し、豚枝肉生産量を同0.3%減と見込んでいる。

豚価は9カ月連続で前年を上回る

欧州委員会によると、2017年2月の豚枝肉卸売価格(EU28カ国)は、前年同月比19.3%高の100キログラム当たり152.3ユーロ(1万8428円:1ユーロ=121円)となった(図14)。

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同価格は、中国の輸入が増え始めた2016年5月以降上昇し、9月にはピークとなる100キログラム当たり165.6ユーロ(2万38円)に達した。その後は、季節的な要因で下落したが、需給バランスは均衡していることから、中国の輸入需要に依存しているという懸念材料はあるものの、高水準を維持している。

豚飼養頭数、スペインがさらに拡大

欧州委員会は3月、2016年12月時点の豚飼養頭数(EU28カ国)を公表した(表3)。EU28カ国の総飼養頭数は、前年比0.9%減の1億4735万頭とわずかに減少した。内訳を見ると、肥育豚(生体重50キログラム以上)は同0.2%増と前年並みとなっているものの、繁殖母豚および子豚(同20〜50キログラム未満)がそれぞれ同1.6%減、同2.3%減となった。

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加盟国別では、EU最大のスペインは同3.0%増となる2923万頭となり、EU全体に占めるシェアは、前年から0.7ポイント上昇し19.8%であった。第2位のドイツは同1.0%減の2738万頭となり、同シェアは前年同の18.6%となった。昨年、スペインがドイツを抜いてEU最大の豚飼養頭数となったが、今年はさらにその差が広がっている。

また、第4位の飼養頭数で、日本の豚肉の輸入先国としてはEU最大であるデンマークは、同3.3%減の1228万頭となった。ドイツやポーランドなどへの子豚の生体輸出が多い傾向が続いていることから、子豚に比べ肥育豚の減少が顕著になっている。なお、第6位ポーランドは、総飼養頭数が同6.0%減、繁殖母豚頭数が同14.8%減となった前年の反動もあり、全てのカテゴリーで増加となった。

(調査情報部 大内田 一弘)


				

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