需給動向 国内 |
冷蔵品輸入量は引き続き好調に推移 |
平成29年2月の豚肉需給を見ると、生産量は、前年がうるう年であった影響もあり、7万1706トン(前年同月比4.1%減)と前年同月をやや下回った。輸入量は、冷蔵品、冷凍品ともに前年同月を上回ったことから、合計でも6万8539トン(同7.8%増)と前年同月をかなりの程度上回った。推定出回り量は、前年同月をやや上回る14万4741トン(同4.7%増)となり、推定期末在庫は前月から4540トンを取り崩して、17万1104トン(同1.7%増)と前年同月をわずかに上回った(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。
平成29年2月の豚肉輸入量のうち、テーブルミートとして消費されることの多い冷蔵品は、2万9649トン(前年同月比9.9%増)と前年同月をかなりの程度上回った。冷蔵品輸入量は、米国とカナダで93%以上を占めているため、2カ国の動向に輸入量が左右される(図3)。冷蔵品輸入量は、28年に過去最高となったものの、29年に入っても現地生産が増加傾向で推移し、輸入業者にとって買い付けしやすい環境が継続しているため、引き続き好調に推移していると考えられる。
なお、当機構が行っている食肉の販売動向調査結果(注)では、小売業者による29年度上半期の輸入豚肉の産地別取扱見通しとして、肉質重視などの理由により、カナダ産を選択する割合が前年同期より多くなっている。このため、冷蔵品におけるカナダ産のシェアが引き続き拡大する可能性も考えられる。
注:「食肉の販売動向調査」とは、当機構が年に2回実施している卸売業者および小売業者を対象とした食肉の取り扱いや販売見通しに関するアンケート調査。なお、本アンケート調査の全文は当機構ホームページに掲載している。(https://www.alic.go.jp/r-nyugyo/raku02_000060.html)
総務省の「家計調査報告」によると、29年2月の全国一人当たりの購入数量は、前年がうるう年であった影響もあり、23カ月ぶりに前年同月を下回る558グラム(前年同月比0.5%減)となった。購入金額は、806円(同2.9%減)と購入単価が前年を下回って推移しているため、2カ月連続で前年同月を下回った(図4)。牛肉の小売価格上昇に伴い、価格優位性のある豚肉に需要がシフトしているが、購入金額の減少には、価格が安い冷蔵品輸入量の増加も背景にあると推測される。
また、前述の同販売動向調査結果では、小売業者の29年度上半期の豚肉販売見通しとして、前年同期と比較して国産品は「同程度」という回答が多く挙げられた一方で、輸入品は「増加」するという回答が多く挙げられた。消費者の低価格志向・節約志向や味付け商材の強化のため、輸入品の取扱量を増やすとの回答もあり、今後の輸入動向が注視される。
(畜産需給部 小林 智也)