需給動向 海外

◆米 国◆

豚飼養頭数は過去最高を更新


肥育豚頭数の増加で堅調な出荷が見込まれる

米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が3月30日に公表した「Quarterly Hogs and Pigs」によると、2017年3月1日時点の豚飼養頭数は、前年比4.2%増の7097万6000頭と過去最高を更新した(表1)。増加要因として、飼料穀物価格安に加え、2017年から順次予定されている豚と畜場の新設により、パッカーの集荷増に対する生産者の期待が高まっていることが挙げられる。

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飼養頭数を種類別に見ると、繁殖豚が同1.5%増の606万8000頭、肥育豚が同4.4%増の6490万8000頭となり、いずれの重量カテゴリーも前年を上回った。

2016年12月〜2017年2月の分娩母豚頭数は、前年同期比2.8%増の301万頭となった。同期間の1腹当たりの産子数は、同1.3%増の10.43頭と過去最高を記録し、産子数は同4.2%増の3140万頭となった。

2月の生産量、稼働日当たりでは増加

USDA/NASSが3月23日に公表した「Livestock Slaughter」によると、2017年2月の豚と畜頭数は、前年同月比0.6%減の937万頭、1頭当たり平均枝肉重量(連邦政府検査ベース)は、前年同月並みの96.2キログラムとなった。これにより、同月の豚肉生産量は、同0.7%減の90万1000トンとなった(図8)。業界紙によると、減少は、と畜施設の稼働日の違いによるものであり、1稼働日当たりでは、と畜頭数は同3.9%増、豚肉生産量は同4.3%増の増加となるとしている。

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2017年の第1四半期(1〜3月)の豚肉生産量についてUSDAは、前年同期比2.7%増の290万3000トンを見込んでいる。

冷凍豚肉在庫量は依然前年をかなり下回る

USDA/NASSが3月22日に公表した「Cold Storage」によると、2017年2月末時点の冷凍豚肉在庫量は、前年同月比9.1%減の25万9000トンとなった(図9)。豚肉在庫量は、国内外からの堅調な需要により、2016年2月以降前年を下回って推移している。冷凍在庫量を部位別に見ると、主にベーコン用に加工されるばら肉は、需要増に伴い、同73.7%減の7000トンと大幅に前年を下回ったほか、多くの主要部位でそれぞれ前年を下回った。一方、もも肉は、同8.7%増の5万7000トンとなった。

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豚肉卸売価格は6カ月ぶりに下落

米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2017年3月の肥育豚価格(速報値)は、前年同月比8.6%高の100ポンド当たり51米ドル(1キログラム当たり127円:1米ドル=113円)と、前年を上回ったものの、6カ月ぶりに前月から値を下げた。USDAは第2四半期(4〜6月)以降について、前年同期を下回って推移するものと予測している。

また、2017年3月の豚肉卸売価格(速報値)は、国内需要に加え、アジアやメキシコ向けを中心とした豚肉輸出量の増加などにより、同6.4%高の同81米ドル(同202円)となった(図10)。

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(調査情報部 渡邊 陽介)


				

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