需給動向 海外

◆豪 州◆

2017/18年度の牛肉生産・輸出見通しを上方修正


牛肉生産量、2カ月連続で前年同月を上回る

豪州統計局(ABS)によると、2017年7月の成牛と畜頭数は、63万3000頭(前年同月比15.5%増)と大幅に増加した。また、同月の牛肉生産量は、1頭当たり枝肉重量の増加もあり、18万9064トン(同20.2%増)と大幅に増加し、2カ月連続で前年同月を上回った(図4)。

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牛肉生産量の大幅増は、大幅に減少した前年からの反動はあるものの、牛群再構築の進展で繁殖基盤が回復し、市場に出回る頭数が着実に回復していることのれとみられる。ただし、クイーンズランド州とニューサウスウェールズ州の内陸部では、ここ数カ月の乾燥気候により放牧環境が悪化しており、今後の天候次第では、繁殖雌牛のとうを増やして牛群を縮小するとの懸念がある。

穀物肥育牛肉輸出、単月での過去最高

豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、2017年8月の牛肉輸出量は9万8711トン(前年同月比22.5%増)と、牛肉生産量の回復を受け、大幅に増加した。中でも、同月の穀物肥育牛肉輸出量は2万6388トンと、単月での過去最高を記録した。これは、高品質な牛肉を安定的に供給できる穀物肥育牛への需要が高まったことに加え、濃厚飼料も安価であったことから、2017年6月末のフィードロット飼養頭数が108万9072頭(同19.6%増)と過去最高を記録したことが背景にある。

穀物肥育牛肉輸出量を輸出先別にみると、シェアの半分以上を占める日本向けは、1万4144トン(同29.7%増)と大幅に増加し、2011年以来6年ぶりに1万4000トンを上回った(図5)。一方、韓国向けは、牧草肥育牛肉を含めた全体の輸出量は1万3688トン(同5.9%減)と減少したものの、そのうち穀物肥育牛は5500トン(同18.0%増)と増加した。

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ABARES、2017/18年度牛肉需給見通しを更新

豪州農業資源経済科学局(ABARES)は2017年9月19日、「Agricultural Commodities」の中で、2017/18年度(7月〜翌6月)の牛肉需給見通しを発表した(表2)。

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これによると、牛と畜頭数は、最大の肉牛生産地であるクイーンズランド州での増加により、前回予測(2017年6月)から30万頭上方修正し、780万頭(前年度比5.1%増)と見込んでいる。牛肉生産量については、と畜頭数の増加に加え、穀物肥育牛割合の増加により1頭当たり平均枝肉重量が増加することから、13万トン上方修正し、224万4000トン(同8.5%増)と見込んでいる。

牛肉輸出量については、生産量の増加に伴い、5万5000トン上方修正し、109万トン(同9.9%増)と見込んでいる。輸出先別に見ると、日本向けは6000トン上方修正し、29万トン(同6.2%増)とわずかな修正にとどまる一方、米国向けは6万7000トン上方修正し、26万トン(同27.5%増)と大幅な増加を見込んでいる。しかし、米国からの需要は、同国における牛肉生産の回復を受け、過去5年平均を12%下回る水準と、弱い状況が継続するとしている。

肉牛取引価格については、主要輸出国である米国などとの競合により、輸出単価の下落が見込まれ、特に日本向けの冷蔵牛肉の下落が見込まれるとして、1キログラム当たり60豪セント(54円:1豪ドル=90円)下方修正し、同465豪セント(419円、同13.1%安)と、かなり大きな下落を見込んでいる。

 (調査情報部 大塚 健太郎)


				

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