需給動向 国内 |
平成29年8月の牛肉需給を見ると、生産量は2万5762トン(前年同月比0.5%増)と6カ月連続で前年同月を上回った。品種別では、和牛が1万768トン(同0.1%減)と前年同月並み、乳用種が7909トン(同5.0%減)と前年同月をやや下回ったものの、交雑種が酪農家での黒毛和種交配率の上昇を背景に6739トン(同9.4%増)とかなりの程度増加し、14カ月連続で前年同月を上回った。
輸入量は、冷蔵品が6カ月連続で2万トン超えの2万5461トン(同30.0%増)と前年同月を大幅に上回り、冷凍品も2万1352トン(同11.9%増)と前年同月を上回ったことから、全体では4万6850トン(同21.0%増)となった。
推定出回り量は、前年同月を上回る7万56トン(同10.2%増)となり、推定期末在庫は前月から2361トン積み増ししたものの、11万6028トン(同9.0%減)と20カ月連続で前年同月を下回った(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。
このような状況の中、東京市場における8月の枝肉卸売価格は、和牛去勢A−4が2343円(前年同月比7.5%安)、交雑種去勢B−3が1422円(同16.4%安)、乳用種去勢B−2が957円(同6.5%安)といずれも下落傾向で推移している(図1)。下落傾向が続いている要因として、高値疲れにより国産牛から輸入牛肉や豚肉など安価な食肉へ需要がシフトしていることなどが挙げられる。
需要面を見ると、牛肉消費の約6割を占める外食などの需要(家計消費、加工仕向を除く)は、比較的堅調に推移している。(一社)日本フードサービス協会の「外食産業市場動向調査」によると、平成29年8月の外食全体の売上高は前年同月比3.5%高と、12カ月連続で前年同月を上回った。特に、焼肉店などを中心に好調だったことが、全体の売上高の増加につながっているものとみられる。また、量販店などの販売量も増加傾向で推移している。総務省の「家計調査報告」によると、8月の1人当たりの牛肉購入数量は205グラム(前年同月比11.0%増)と前年同月をかなりの程度上回った。購入単価は、6月を除き前年同月を下回る月が多く、購入数量が増加している背景として、輸入牛肉の増加が考えられる(図2)。当機構が行っている「食肉の販売動向調査結果」(注)では、量販店における29年度下半期の食肉取扱見通しについて、国産鶏肉や輸入豚肉が「増加」すると回答した者がそれぞれ50%、45%、輸入牛肉についても35%を占めたことから、今後も、量販店では輸入牛肉や豚肉、鶏肉の取扱いを増やすものとみられる。
注:「食肉の販売動向調査」とは、当機構が年に2回実施している卸売業や小売業者を対象とした食肉の取扱いや販売見通しに関するアンケート調査。(https://www.alic. go. jp/r-nyugyo/raku 02_000060.html)
(畜産需給部 山神 尭基)