需給動向 海外

◆アルゼンチン◆

輸出量が前年を大幅に下回る


天候不順などによる生産量減により、輸出量も大幅減

アルゼンチン国家統計院(INDEC)によると、2017年1〜7月の主要乳製品輸出量は、前年同期比32.0%減と大幅に減少した(表16)。これは、トウモロコシの価格が前年の輸出税の廃止やペソ安による輸出量の増加に伴い国内需給がひっ迫したことで上昇し、その結果生乳の生産コストが増加していること、酪農主産地であるサンタフェ州やコルドバ州で今年初めに洪水が発生したことなどにより、1月〜3月の生乳生産量が前年同月をかなり下回ったことが挙げられる。

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輸出量を品目別に見ると、主力の全粉乳が49.9%減と大幅に前年同期を下回っている。これは、主要輸出先であったベネズエラが、政情不安に伴う支払遅延の常態化などに伴って、大幅に減少したことが挙げられる。加えて、大手乳業メーカーであるSancor社が経営不振に陥り、輸出量を大幅に減らしていることも原因の一つとされている。

下半期は回復見込みも、先行きは不透明か

米国農務省海外調査局(USDA/FAS)は、アルゼンチンの2017年の生乳生産量について、前年から今年の初めにかけての天候不順からの回復が見込まれることから、前年比2.0%増の1039万5000トンと予測している(図22)。

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一方で、現場からは、前年のダメージが大きく回復が遅れていることから、前年並みか前年を下回るとの声が聞かれており、アルゼンチン乳業協会(CIL)は前年比で2〜4%の減少、前々年比で15%程度の減少と見込んでいる。

(調査情報部 佐藤 宏樹)


				

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