需給動向 海外 |
2017/18年度の生乳生産、回復の見通し
デーリー・オーストラリア(DA)によると、2017年7月の生乳生産量は、新シーズンの始まりであり、1年の中でも比較的少ないものの、前年同月比で2.7%増の65万3900キロリットル(67万3500トン相当)と、やや増加した(図17)。
このうち、酪農主産地のビクトリア(VIC)州では、比較的潤沢な降雨に恵まれたこともあり、同4.6%増の43万5100キロリットル(44万8200トン相当)とやや増加した。
現地専門家は、今年度の生産について、現段階で見通すのは早計であるとしつつも、乳業メーカー各社が、前年度を上回る生産者支払乳価を提示していることもあり、少なくともシーズン序盤は、比較的堅調に推移するだろうとしている。
DAが発表した、2017年7月の乳製品の主要4品目の輸出量を見ると、脱脂粉乳が前年同月比で2倍以上となる大幅な増加となったものの、他の主要3品目は前年同月を下回り、特に、全粉乳とバターはともに大幅な減少となった(表12、図18)。
脱脂粉乳は、中国やベトナム向けが好調だったことから、前年同月比で2倍以上となった。
一方、全粉乳は、中東やスリランカ向けが減少したことで、また、バターは、生産量が減少する中、国内大手小売向けの供給を優先したことで、それぞれ前年同月を大幅に下回った。
チーズは、中国向けが2割ほど減少したものの、堅調な東南アジア向けによって相殺され、わずかな減少にとどまった。
豪州農業資源経済科学局(ABARES)は9月19日、四半期ごとに公表している「Agricultural Commodities」の中で、2017/18年度(7月〜翌6月)の生乳および乳製品需給に関する見通しを公表した(表13)。
これによると、乳牛飼養頭数は、生産者支払乳価の回復を受け、主産地であるVIC州の乳牛淘汰が、前年比4割減と大幅に減少したことから、また、乳牛1頭当たり乳量は、安価な飼料価格を受けて補助飼料給与が増加するとみられることから、ともに前年度比で増加し、この結果、生乳生産量は、925万キロリットル(953万トン相当、前年度比2.6%増)と回復が見込まれるとしている。
乳製品輸出額は、アジア地域をはじめとした堅調な乳製品需要を受け、国際市況が回復基調で推移するとみられることから、増加が見込まれるとしている。
(調査情報部 竹谷 亮佑)