需給動向 海外 |
バター価格の高騰などにより乳価は上昇
欧州委員会によると、2017年7月の生乳出荷量(EU28カ国)は、前年同月比2.1%増の1334万トンと、5カ月連続の増産となった(図14)。
加盟国別に見ると、生乳出荷量の上位2カ国であるドイツ(前年同月比0.4%減)、フランス(同1.4%減)が天候不順などにより減産する一方、第5位から第7位までのポーランド(同6.6%増)、イタリア(同12.8%増)、アイルランド(同9.6%増)が、生乳取引価格の上昇による酪農家の増産意欲の高まりなどを背景にいずれも増加した。
2017年1〜7月までの累計では、前年同期比0.2%減となった(表11)。加盟国別には、7月と同様に、ポーランド(前年同期比4.4%増)、イタリア(同3.3%増)、アイルランド(同7.5%増)の増産傾向が強い。
欧州委員会によると、2017年8月の平均生乳取引価格(EU28カ国)は、前年同月比30.5%高の100キログラム当たり34.48ユーロ(1キログラム当たり46.20円:1ユーロ=134円)となった(図15)。同価格は、高騰するバターおよびチーズ価格の影響などにより、3カ月連続の上昇となっている。
欧州委員会によると、2017年9月18日の週のバター平均卸売価格(EU28カ国)は、前週から0.1%下がり、前年同期比65.6%高の100キログラム当たり647.0ユーロ(8万6698円)となった(図16)。
同価格は、27週ぶりに前の週を下回った前週に続き、2週連続の下落となったものの、国際的な需要の高まりなどから、依然として記録的な高水準となっている。チーズは、バターと比較すると上昇幅は小さいものの、同11.0%高の同355.1ユーロ(4万7583円)と高値で推移している。一方、脱脂粉乳は、同11.9%安の同168.2ユーロ(2万2539円)となった。35万トンに積み上がっている公的在庫の影響などにより、前週に続き公的買入価格(同169.8ユーロ)を下回るなど低迷している。
(調査情報部 大内田 一弘)