需給動向 国内

◆牛乳・乳製品◆

北海道の生乳生産、減少幅が縮小


平成29年8月の生乳生産量は、60万546トン(前年同月比1.6%減)と12カ月連続で前年同月を下回った(図8)。内訳を見ると、北海道が33万174トン(同0.1%減)、都府県が27万372トン(同3.4%減)といずれも減少した。北海道では、昨年の8月下旬に上陸した台風被害により、減産を余儀なくされたが、今年は一時的に猛暑などに見舞われた時期があったものの、天候がおおむね良好に推移したことから、主産地である中標津地区で12カ月ぶりに前月同月を上回ったことに加え、帯広、北見や釧路地区も前月に比べ減少幅が2ポイント以上も縮小するなど、9月以降の生産量の回復が期待されている。一方、都府県では、生産シェアの約3割を占める九州で同6.5%減と減少幅が拡大した。

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用途別生乳処理量を仕向け先別に見ると、牛乳等向けは、32万7532トン(同0.4%減)と前年同月をわずかに下回り、乳製品向けも26万8924トン(同3.0%減)と14カ月連続で前年同月を下回った。また、乳製品向けのうち、脱脂粉乳・バター等向けも前年同月を6.2%減とかなりの程度下回った(農林水産省「牛乳乳製品統計」)。

バター・脱脂粉乳生産量、減少続く

乳製品の生産については、平成29年8月のバターや脱脂粉乳の生産量は、バターが4961トン(前年同月比7.3%減)、脱脂粉乳は9593トン(同2.6%減)といずれも減少した。バターの減少要因については、アイスクリーム需要などを背景にクリームの生産が伸びていることが挙げられる。

29年度の生乳生産見通し、わずかに上方修正

一般社団法人Jミルクが平成29年9月29日に公表した今年度3回目の「平成29年度の生乳及び牛乳乳製品の需給見通しと当面の課題について」によると、29年度の生乳生産量は、前年度比1.4%減の724万5000トン(北海道が387万7000トン(同0.5%減)、都府県が336万8000トン(同2.4%減))と見込まれている(表)。なお、同見通しでは、前回(7月25日)から、生乳生産量は1万3000トン上方修正された。

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地域別に見ると、北海道については、生産の主力となる2〜4歳の乳牛頭数が下期には前年水準に回復する見込みであることや、今年度産のサイレージなどの給与開始による増産が期待されることから、下期にかけて前年を超える見込みであるものの、通期では前年をやや下回る見通しとしている。都府県については、西日本で厳しい暑さが続いたことや今春の分娩頭数が前年を下回ったことなどから前年度を下回る見通しとしている。

また、乳製品の生産量は、生乳生産量がわずかに減少すると見込まれる中、飲用等向けが前年度並み、乳製品向けが同3.4%減とやや減少することから、バターは5万9200トン(同6.9%減)、脱脂粉乳は11万7700トン(同4.7%減)といずれもやや減少する見通しとされた。

農林水産省、輸入枠の現行維持を公表

平成29年9月29日、農林水産省は、29年度のバター・脱脂粉乳の輸入枠について、バター・脱脂粉乳いずれも一定以上の在庫水準を維持していることから、現在の輸入枠の変更を行わないことを公表した。今後のバターや脱脂粉乳については、引き続き入札を実施するとともに、機構が保有する在庫を放出することから、需給は安定的に推移するものと見込まれている。

(需給業務課 山神 尭基)


				

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