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輸出量は減、国際価格は高値続く
ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2017年8月の生乳生産量は、132万1000トン(前年同月比1.6%減)と、前年同月をわずかに下回った(図19)。
現地専門家によると、主産地である北島を中心に、春先の多雨によって牧草摂取量が制限されたことが、減産の背景にあるものの、今後、降雨量は平年並み、気温は平年を上回って推移するとみられているため、生乳生産がピークを迎える初夏にかけて、生産量は回復が見込まれるとしている。酪農家の間では、生産者支払乳価の上昇によって、これまで2年間にわたる低乳価から脱したとして、今年度の酪農経営を楽観視する向きもある。
ニュージーランド統計局(Statistics NZ)によると、2017年8月の乳製品の主要4品目の輸出量は、以下の通りとなった(表14、図20)。
生乳生産の季節性を反映し、例年、8月の乳製品輸出量は全体的に少なくなることが多い。
脱脂粉乳は中国やフィリピン向けが、バターはサウジアラビアやエジプト向けが減少したことで、それぞれ前年同月の半分以下にまで減少した。
主力品目である全粉乳は、中国向けが前年同月を上回った一方、アルジェリア向けが大幅に減少し、チーズは、豪州向けが増加した一方、中国向けが大幅に減少したことで、それぞれ前年同月比で約2割減少した。
2017年9月19日に開催された、乳製品価格の指標とされるグローバルデーリートレード(GDT:フォンテラ社主催の電子オークション、月2回開催)の1トン当たり平均取引価格は、以下の通りとなった(表15、図21)。
全粉乳については、新年度の生産が始まり、入札量が増加してきているにもかかわらず、価格の上昇がみられたことに、市場関係者からは驚きの声も聞かれている。
また、バターについては、世界的に堅調な需要に生産が追い付いていないことから上昇し、最高値を更新した。現地報道によると、輸出需要の過熱により国内仕向け量が減少したことで、国内のバター小売価格は、2017年9月現在で前年同月比59.5%高と、物価水準全体の上昇率(同0.5%増、季節変動調整後)を大幅に上回って上昇している。
(調査情報部 竹谷 亮佑)