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生乳生産量は引き続き増加見込み
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2017年9月19日に公表した「Milk Production」によると、8月の乳用経産牛飼養頭数は、前年同月比0.8%増の940万5000頭となった。また、同月の1頭当たり乳量は、同1.3%増の870キログラムとなった。この結果、生乳生産量は、同2.0%増の818万7000トンとなった(図11)。
同月の生乳生産量を州別に見ると、最大の生産州であるカリフォルニア州は、同0.7%減の148万1000トンとなった。一方、第2位のウィスコンシン州は、同1.8%増の117万4000トンとわずかに増加した。
2017年の生乳生産量についてUSDAは、乳用経産牛飼養頭数および1頭当たり乳量が増加することから、前年比1.7%増の9797万1000トンと見込んでいる。
USDA/NASSが2017年9月5日に公表した「Dairy Products」によると、7月のチーズ生産量は、前年同月比1.0%増の46万6000トンとなった(図12)。州別に見ると、最大の生産州であるウィスコンシン州は、ピザなどのフードサービスを中心とした国内需要に後押しされ、同0.7%増の12万4000トンとなった。このほか、ミネソタ州、アイオワ州およびイリノイ州などの中西部で増産となった。一方、需要が落ち着いている西部や北東部で減産傾向となり、カリフォルニア州は同0.3%減の9万7000トン、ニューヨーク州は同5.6%減の2万7000トンとなった。
バター生産量は、国内外からの需要を受けて同1.6%増の6万2000トンとなった。このうち、最大の生産州であるカリフォルニア州は、同12.2%減の1万7000トンとかなり大きく減少した。USDAによると、クリームの価格が好調なため、クリームを外販するバター製造者が一部でみられている。
USDA/NASSが2017年9月22日に公表した「Cold Storage」によると、8月末時点のバターの冷凍在庫量は、前年同月比12.1%減の12万7000トンとなったものの、2000年以降では2016年に次いで多い水準にある(図13)。
チーズの在庫量は、同7.4%増の60万5000トンとなり、2016年3月以降前年を上回っている。
USDAによると、2017年1〜7月のチーズの輸出量は、前年同期比22.2%増の20万トンとなった(表10)。この要因についてUSDAは、米国産が他国産に比べて割安なためとしている。国別に見ると、最大の輸出先であるメキシコ向けが同14.3%増の6万トンとなったほか、韓国、日本および中国といったアジア向けも前年を大幅に上回った。また、豪州向けは同69.6%増の1万4568トンと増加が目立った。
(調査情報部 渡邊 陽介)