需給動向 国内

◆豚 肉◆

8月の豚肉生産量、2カ月連続で前年同月割れ



平成29年8月の豚肉需給を見ると、生産量は7万86トン(前年同月比1.9%減)と前年同月をわずかに下回った。一方、輸入量は7万8428トン(同6.2%増)と前年同月をかなりの程度上回った。輸入量のうち、主にテーブルミートとして消費される冷蔵品は3万6496トン(同22.4%増)と10カ月連続で前年同月を上回ったものの、主に加工業務用として使用される冷凍品は4万1930トン(同4.8%減)と4カ月ぶりに前年同月を下回った。推定出回り量は前年同月をやや上回る14万7484トン(同4.5%増)となり、推定期末在庫は前月から994トンを積み増し、17万7063トン(同0.4%増)と前年同月をわずかに上回った(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

豚枝肉卸売価格、高値で推移

豚枝肉卸売価格(省令価格)は、昨年の夏場の暑さによる繁殖成績の低下に伴い肥育頭数が減少している上、今年の暑さにより生育も不良となったことにより、生産量が2カ月連続で前年同月を下回っていることから、6月以降、1キログラム当たり600円を超える高値で推移している(図3)。9月の同価格(速報)は、下旬に出荷頭数が増加し、500円台前半まで下降したものの、同614円(前年同月比16.3%高)となった。

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当機構が行っている「食肉の販売動向調査結果(以下「調査結果」という)」(注)では、小売業者による29年度上半期の国産豚肉の小売価格(前年同期比)について、卸売価格が上昇する中、値上げした者が3割にとどまり、仕入価格上昇分を価格転嫁していない者が7割いることが明らかになった。同調査では値上げに踏み切れず利益の確保が困難になっている小売業者の中には、輸入豚肉へ販売をシフトする動きも見られる。

家計消費、数量、金額とも6カ月連続で前年同月を上回る

総務省の「家計調査報告」によると、平成29年8月の全国1人当たりの豚肉購入数量は555グラム(前年同月比2.0%増)、支出金額は812円(同1.8%増)といずれも6カ月連続で前年同月を上回った(図4)。牛肉の小売価格上昇に伴い、価格優位性のある豚肉に需要がシフトしているため、数量、金額共に好調に推移しているものの、単価は前年同月を下回る月が多くなっている。こうした背景には、国産品と比較して安価な輸入冷蔵品の購入量の増加があるとみられる。

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なお、「調査結果」では、29年度下半期の豚肉販売見通しとして、輸入豚肉は約5割の小売業者が増加すると回答し、消費者の低価格志向や味付け商材の強化のため、輸入品の取扱量を増やすとの回答もあった。このような需要を反映し、豚肉の輸入量は今後増加することも予想される。

注:「食肉の販売動向調査」とは、当機構が年に2回実施している卸売業者および小売業者を対象とした食肉の取り扱いや販売見通しに関するアンケート調査。(https://www.alic.go.jp/r-nyugyo/raku02_000060.html

(畜産需給部 小林 智也)


				

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