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2016/17年度牛肉生産量、牛群再構築で1割減
豪州統計局(ABS)によると、2017年6月の成牛と畜頭数は、少雨による飼養環境の悪化から、65万9000頭(前年同月比6.5%増)と、2015年6月以来初めて対前年同月を上回った。雄牛は33万8900頭(同12.9%増)、雌牛も32万100頭(同0.5%増)といずれも前年同月を上回った(図6)。また、6月の牛肉生産量は、と畜頭数の増加や平均枝肉重量の増加を受け、19万5344トン(同11.2%増)と前年同月を上回った。
2016/17年度(7月〜翌6月)の累計では、と畜頭数は698万1000頭(前年度比14.8%減)、牛肉生産量は204万8517トン(同11.5%減)と、牛群再構築の進展に伴い、ともに前年度を下回る結果となった。しかし、豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)は、今後も降雨量の少ない状態が続くとみられることから、2017/18年度下半期にかけて、と畜頭数は前年同月を上回って推移する可能性が高いとしている。
MLAによると、肉牛取引価格の指標となる東部地区若齢牛指標(EYCI)価格は、下落が続いている。2017年8月31日時点で1キログラム当たり553豪セント(492円:1豪ドル=89円)と、過去最高値を記録した1年前(2016年8月17日、725.75豪セント(646円))から2割以上下落したこととなる(図7)。
これについて、MLAは、若齢牛に対する需要低下が背景にあるとしている。牧草肥育農家にとっては、前述のとおり少雨による飼養環境の悪化から、また、穀物肥育農家にとっては、飼料穀物価格の上昇(注)から、それぞれ肥育もと牛の導入意欲が低下しているとしている。また、豪ドル高米ドル安(円安)で推移する為替相場も、生産環境を悪化させているとしている。
(注) 2017年1月以降、豪州では飼料穀物価格が上昇しており、8月24日現在、ダーリングダウンズの小麦が1トン当たり302豪ドル(前年同期比33.6%高)、大麦は同290豪ドル(同36.8%高)とともに前年を大幅に上回る高値となっている。
豪州農業・水資源省(DAWR)によると、2017年7月の牛肉輸出量は、9万2773トン(前年同月比14.9%増)と、牛肉生産量の増加を受け、かなり大きく増加した(図8)。
国別に見ると、米国向けは、同国の牛肉生産量が回復傾向にあるにもかかわらず、2万3354トン(同26.0%増)と大幅に増加した。日本向けについても、2万7201トン(同16.1%増)と、冷凍(1万7341トン(同30.1%増))の増加を受け大幅に増加した。
(調査情報部 竹谷 亮佑)