需給動向 国内

◆牛 肉◆

肉用子牛取引価格、黒毛和種、交雑種ともに下落が継続


平成29年7月の牛肉需給を見ると、生産量は2万8628トン(前年同月比1.3%増)と5カ月連続で前年同月を上回った。品種別では、乳用種が7651トン(同5.8%減)と前年同月をやや下回ったものの、和牛が1万3242トン(同0.4%増)とわずかに前年同月を上回り、交雑種も酪農家での黒毛和種交配率の上昇を背景に7381トン(同12.3%増)とかなり大きく増加し、13カ月連続で前年同月を上回った。

輸入量は、冷蔵品が5カ月連続で2万トン超えの2万2022トン(同4.6%増)と前年同月をやや上回った一方、冷凍品は3万4324トン(同6.5%減)と3カ月ぶりに前年同月を下回ったことから、全体では5万6387トン(同2.5%減)となった。

推定出回り量は、3カ月ぶりに前年同月を下回る7万9497トン(同2.9%減)となり、推定期末在庫は前月から5311トン積み増し、11万3667トン(同10.4%減)と19カ月連続で前年同月を下回った(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

黒毛和種、交雑種は下落基調、ホルスタイン種は高値が続く

肉用子牛取引価格(全国・雌雄平均)の推移を見ると、黒毛和種については、高齢化や後継者不足による繁殖農家の減少に加え、平成23年の東日本大震災および大規模畜産業者の経営破綻の影響による繁殖雌牛の減少、これに伴う出生頭数の減少を背景に、24年以降、右肩上がりで推移してきた。

平成28年度の黒毛和種の肉用子牛取引価格は、年度を通じて高値で推移し、12月には、当機構が取引情報の収集を開始した2年度以降で最高値となる85万2287円を記録した。29年度に入っても、高値が続いていたが、7月は74万8891円(前年同月比4.0%安)と2カ月連続で下落となった。この要因として、7月の取引頭数がわずかに前年同月を上回ったことに加え、昨年度に比べ和牛の枝肉卸売価格が下落傾向にあることで肥育農家の購買力が低下していることが挙げられる(図1)。

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交雑種については、乳用種に比べて子牛価格が比較的高い交雑種の生産意欲が酪農現場で強まったことから、乳用牛への黒毛和種交配率が上昇したことで、出生頭数は増加している。29年7月は、黒毛和種同様に交雑種の枝肉価格が下落傾向にあることから、37万6576円(同4.6%安)とやや下落した(図2)。

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ホルスタイン種については、酪農家の離農の増加や乳用牛への黒毛和種交配率の上昇などを背景に、近年は出生頭数が減少傾向で推移する中、取引形態は、和牛と異なり、相対取引が多いものの、市場出荷頭数は増加している。

ホルスタイン種の価格は、出生頭数の減少を受け、27年12月に1頭当たり25万1787円まで上昇した後、落ち着きを見せ、弱含みで推移した。28年11月以降再び上昇し、29年7月は22万9748円(同7.1%高)と13カ月ぶりに前年同月を上回った(図3)。

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今後もホルスタイン種については、出生頭数の減少が見込まれることから、高値で推移するとみられる。

(畜産需給部 山神 尭基)


				

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