需給動向 海外

◆ブラジル◆

1〜6月の輸出量は前年同期比6.6%減


中東・中国を中心に輸出量減

ブラジル開発商工省貿易局(SECEX)によると、2017年1〜6月の冷蔵・冷凍鶏肉輸出量は、前年同期比6.6%減の192万4195トン(製品重量ベース)となった(表6)。輸出量が減少した主な要因としては、3月17日に発覚した食肉不正問題によって輸入をいったん停止した国が多く、3月末から4月にかけての輸出量が減少したことに加え、中東や中国などで、現地の生産量が回復したことが挙げられる。

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また、食肉不正問題の影響について、ブラジル動物性タンパク質協会(ABPA)は、「この問題は、ブラジル国内の食肉工場の1%に満たない工場で生じたものであったが、大きく報道されたことによって、輸入国側に一部誤解を与えてしまい、それが輸出量の減少につながった」としている。一方、輸出額(米ドル換算)は、前年と比較してレアル高で推移し、輸出単価が上昇したため、前年同期比7.3%増となった(図15)。

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月別にみると、食肉不正問題が発覚した3月以降、全ての月で前年同月を下回って推移したが、5月以降は30万トン台に回復しており、ABPAは、7月は食肉不正問題以降初めて前年同月を上回るとしている。

国別にみると、第1位のサウジアラビア向けは4月以降前年同月を25%以上下回って推移している(表7)。これについてABPAは、同国の鶏肉輸入における関税が上がったことに加え、3月以降輸入量が急増しているエジプトと競合したことが要因としている。第3位の中国向けも、同国内における生産量の回復などから、大幅な減少が続いている。一方、南アフリカやエジプト向けは、順調に増加しており、今後の鶏肉輸出における存在感の高まりが期待されている。

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トウモロコシの豊作により、生産コストは低下

ブラジル農牧研究公社(EMBRAPA)養鶏・養豚調査センター(CIAS)によると、最大生産州パラナ州のブロイラー生産コスト指数は、生産コストの約7割を占める飼料の主原料であるトウモロコシの価格が、豊作見込みにより下落していることから、16年7月以降低下基調で推移している(図16)。

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ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)が9月12日に公表した2016/17年度(10月〜翌9月)主要穀物生産状況等調査結果によると、トウモロコシの生産量は、前年度の干ばつによる需給ひっ迫を受けて作付面積が増加した上、単収も良好だったことから、前年度比46.9%増の9771万トンと大幅な増加が予測されている(図17)。

(調査情報部 佐藤 宏樹)


				

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