需給動向 海外

◆タイ◆

2017年上半期、好調な日本向け輸出を背景に、輸出量、生産量ともに増加


17年の鶏肉輸出は増加する見通し

2017年上半期(1〜6月)の鶏肉輸出量(調製品等を含む。)は、39万7659トン(前年同期比10.4%増)と堅調に推移している(図18)。

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このうち日本向けは、世界各地で発生した鳥インフルエンザ(AI)などの影響によりタイ産鶏肉の需要が増加したことから、12万7472トンと、前年同期比で15.7%の増加となった。

鶏肉輸出量は、7月も6万5296トン(前年同月比9.9%増)と前年同月を上回っている。タイブロイラー加工輸出業者協会は、17年の鶏肉輸出量について、下半期も日本向けが堅調に推移するとし、当初予測の77万トンを上回る見通しとしている。

なお、鶏肉調製品の5割程度は日本向けとなっている。

鶏肉生産加工大手各社ともに生産量を拡大

鶏肉生産加工大手のチャロン・ポカパン・フーズ(CPF)は8月、鶏肉生産量をこれまでの1週間当たり700万羽から800万羽に引き上げたと発表した。この増産理由として、ブラジルの食肉不正問題で同国産鶏肉の需要が減少したほか、中国国内の鶏肉消費量の拡大により同国からの輸出量が減少したことを挙げ、世界的にタイ産鶏肉の需要が高まっているためとしている。また、同社は、鶏肉生産加工大手各社も鶏肉需要の増加に伴い増産していることから、国内生産量は1週間当たり3000~3200万羽に達したとの見方を示している。

農業・協同組合省農業経済局の直近のデータによると、17年6月の食鳥処理羽数は1億2051万羽、引き続き好調な輸出需要などを背景に前年同月を上回る16万5000トンとなっている(図19)。

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商務省国内取引局は7月、鶏肉価格(卸売価格、小売価格)の3カ月予測(7〜9月)を発表し、生産に影響を与える大きな懸念材料はなく、国内外の需要を満たすだけの生産量が見込まれるため、価格は安定して推移するとしている。

6〜7月に中部の複数の県で、また、8月中旬には北部のランパン県で家きん類の大量死が発生し、関係者の間でAIへの感染と鶏肉価格の上昇が危惧されたが、農業・協同組合省畜産開発局が一連の大量死は家きんコレラによるものと発表したことから、大きな影響には至らなかった。

同局は、養鶏農家に対し、雨期(5月上旬ごろ~10月中旬ごろ)は衛生状態が悪くなるため、家きん舎などを適切に管理するとともに鳥の健康状態に留意し、異常が認められれば直ちに各県にある同局の事務所に報告するよう呼びかけている。

(調査情報部 青沼 悠平)


				

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