需給動向 海外 |
◆米 国◆
生産量は増加するも価格は高値
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2017年8月25日に公表した「Poultry Slaughter」によると、7月のブロイラーの処理羽数は、前年同月比2.3%増の7億2443万1000羽となった。また、1羽当たり平均処理時生体重は、同0.8%増の2.79キログラムとなった。この結果、鶏肉生産量は、同3.2%増の151万9000トンとなった(図11)。
2017年の生産量についてUSDAは、7月1日時点の雌種鶏羽数が2008年7月以降で最高となっていることから、今後の処理羽数の増加を見込み、前年比1.9%増の1881万9000トンと見込んでいる。
USDA/NASSが2017年8月22日に公表した「Cold Storage」によると、7月末時点の鶏肉冷凍在庫量は、鶏肉需要が堅調なことから前年同月比3.5%減の36万1000トンとなった。部位別に見ると、手羽は同33.3%減の2万7000トンと大幅に減少した(図12)。現地報道によると、手羽の国内需要が伸びており、規格によっては生産後ほどなく売り切れる状況にあるとされている。このほか、むね肉は同2.2%増の7万8000トン、レッグクォータ(注)は同14.0%減の5万7000トンとなった。
(注) ブロイラーを4分の1にカットしたもの。ドラムスティックと上ももに背肉の半分が付着したもの。
USDA/NASSが2017年8月30日に公表した「Agricultural Prices」によると、7月のブロイラーの生産者販売価格は、前年同月比21.6%高の1ポンド当たり62セント(1キログラム当たり152円:1米ドル=111円)となった。
また、米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、8月の鶏肉(丸どり(中抜き))卸売価格(速報値)は、国内外からの堅調な需要により同17.5%高の1ポンド当たり93.65セント(同229円)と7カ月連続で前年同月を上回った(図13)。部位別に見ると、むね肉は同2.4%高の同146.25セント(同358円)、レッグクォータは同32.0%高の同43.40セント(106円)となった。
USDA/ERSによると、2017年第2四半期(4〜6月)の鶏肉輸出量は、前年同期比0.8%増の73万4000トンと、前年同期を上回ったものの、増加幅は第1四半期の同7.9%増から縮小した(図14)。輸出の伸びの鈍化についてUSDAは、鶏肉価格が高値であることによるとしている。輸出先国・地域別に見ると、最大の輸出先であるメキシコは同8.4%減の15万トン、カナダは同5.7%減の3万7000トンとなった。一方、アンゴラやキューバが大幅に増加した。
(調査情報部 渡邊 陽介)