需給動向 国内 |
平成29年8月の鶏卵卸売価格(東京、M玉)を見ると、夏場の不需要期を迎えたこともあり、低下傾向で推移し、前月比9円安の1キログラム当たり182円(前年同月比2円高)と前年同月をわずかに上回った(図9)。
鶏卵の卸売価格は、例年、春から夏場の気温の上昇に伴って低下し、夏場の不需要期に底を迎えるという動きを示す。本年においても、供給面では、卵重低下で小玉傾向が見られる一方、需要面では、例年通りテーブルエッグ、加工・業務用ともに需要が鈍化し、下げ基調で推移していた。しかし、気温が例年よりも低かったことで引き合いが増え、8月下旬に上昇基調に転じた。また、9月に入り、学校給食の再開や、大手ファストフードやコンビニチェーンなどの鶏卵を使用した商品展開などを受け、相場は引き続き上昇傾向となっている。
今後について、供給面では、暑さが和らぎ、卵重が回復すると考えられ、順調な生産が期待される。また、需要面では、涼しくなるにつれ、おでんや鍋料理、クリスマス需要のある洋菓子などの需要期に向けて消費は回復していくとみられ、鶏卵相場は例年通り冬場に向けて上昇するものとみられる。
(一社)日本養鶏協会は9月1日、鶏卵生産者経営安定対策事業のうち、鶏卵価格差補塡事業に係る8月の補塡額(注1)を1キログラム当たり5.103円と発表した。
この事業は、当該月の標準取引価格(規格卵(注2)における1キログラム当たりの加重平均価格)が補塡基準価格を下回った場合、その差額の9割を生産者に補塡するものである。8月は標準取引価格(181.33円)が補塡基準価格(187円)を5.67円下回ったことから、前月に続き、発動されることとなった。
例年夏場は、鶏卵相場が低迷するため発動することが多く、8月としては2年連続で補塡金が支払われることとなった。
注1:補塡額とは、標準取引価格と補填基準価格の差額(補填基準価格と安定基準価格との差額を上限とする)の9割のことをいう。
2:規格卵とは、JA全農たまご株式会社の東日本営業本部および西日本営業本部において販売された、鶏卵規格取引要綱に定める箱詰鶏卵規格およびパック詰鶏卵規格に定める全種類の鶏卵のことをいう。
(畜産需給部 河村 侑紀)