需給動向 海外

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生乳出荷量は回復基調、バター価格高騰


4カ月連続の増産、アイルランドなどがけん引

欧州委員会によると、2017年6月の生乳出荷量(EU28カ国)は、前年同月比1.8%増の1342万トンとなった(図21)。

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2017年1〜6月までの上半期の累計では、前年同期比0.6%減となった。同出荷量は、1月から2月までは前年同期を3%程度下回って推移していたが、3月以降、4カ月連続で前年同月を上回る回復基調で推移している。

上半期を上位8カ国で見ると、EU最大の生乳出荷国であるドイツ(前年同期比3.2%減)、第2位のフランス(同2.8%減)をはじめ上位4カ国が天候不順などにより減産となった一方、第5位のポーランド(同4.1%増)以降、第8位のスペイン(同1.4%増)までが増産となっている(表12)。最大の増加率となったアイルランド(同6.9%増)では、生乳取引価格の上昇により生産者の生産意欲が増加していると報じられている。

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乳価はやや上昇

欧州委員会によると、2017年7月の平均生乳取引価格(EU28カ国)は、前年同月比31.9%高の100キログラム当たり33.87ユーロ(1キログラム当たり45.05円:1ユーロ=133円)となった(図22)。

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同価格は、2017年に入ってから同33ユーロ台前半で推移してきたが、バターやチーズの需要が引き続き強いことなどにより、前月から同0.7ユーロ(同0.93円)の上昇となった。

バター価格の高騰続く

欧州委員会によると、2017年8月21日の週のバター平均卸売価格(EU28カ国)は、前年同期比80.6%高の100キログラム当たり617.6ユーロ(8万2141円)となった(図23)。同価格は、8月14日の週に600ユーロを超えた後も需要の高まりから上昇し続け、記録的な高値となっている。

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生乳およびバターの最大生産国であるドイツや、第2位のフランスが天候不順などにより減産傾向にあることなどが、バター不足の要因となっている。現地報道によると、バターは、需要の高まるクリスマスに向けて、現在よりもさらに不足する可能性があるとし、今後のさらなる生乳および乳製品の取引価格の上昇などが予測されている。

(調査情報部 大内田 一弘)


				

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