需給動向 海外

◆E U◆

生産量増加し、豚価の上昇は一服


主要国を中心に増産

欧州委員会によると、2017年5月の豚枝肉生産量(EU28カ国)は、と畜頭数が前年同月比4.4%増、1頭当たり平均枝肉重量が同1.9%増となったことから、同6.3%増の200万トンとなった(図9)。

023a

加盟国別に見ると、EU最大の生産国であるドイツ(同3.8%増)の他、スペイン(同7.4%増)、フランス(同10.3%増)、デンマーク(同29.9%増)など主要国が軒並み増産となった(表4)。

023b

また、2017年1〜5月までの累計では、フランス(同6.5%増)、デンマーク(同3.5%増)などが、アジアからの輸出需要などにより増産傾向を強めているものの、ドイツ(同2.3%減)などが減産傾向にあることから前年同期比0.8%減となった。

豚肉輸出、中国向けが鍵

2017年1〜6月の豚肉輸出量(EU28カ国)は、前年同期比13.6%減の105万トンとなった(表5)。

024a

輸出先国別に見ると、最大の中国向けは、3倍近く増加した前年からは大幅に減少(同37.4%減)したものの、前々年と比べると大きく上回る水準となっている。現地報道では、主要豚肉生産国である英国やデンマークなどが、中国向け輸出の拡大のため、投資や業務提携などを行っており、今後の輸出量増加が期待されている。

一方、日本向け(同3.1%増)、韓国向け(同23.0%増)、米国向け(同11.3%増)、フィリピン向け(同15.7%増)などはいずれも増加している。

豚価は6カ月ぶりの下落

欧州委員会によると、2017年7月の豚枝肉卸売価格(EU28カ国)は、前月から3.0%下落し、前年同月比6.1%高の100キログラム当たり171.3ユーロ(2万2783円:1ユーロ=133円)となった(図10)。

024b

同価格は、高水準で推移する輸出需要などから堅調に推移してきたが、生産量の増加などにより6カ月ぶりの下落となった。生産量はこのまま堅調に増加していく見方が強く、同価格の上昇は抑制されていくとみられている。

(調査情報部 大内田 一弘)


				

元のページに戻る